つみたて・一般・ジュニアNISAの優先順位

では、旧NISAを使い切るにあたって、具体的に最も優先すべきことを見ていきましょう。それぞれ順番にご説明していきます。

1.つみたてNISAをフル活⽤

つみたてNISAとは次のような制度です。

●年間40万円までの投資が⾮課税
●⾮課税期間は投資してから20年間
●投資できる商品は⼀定の基準を満たした投資信託のみ

新NISAの1800万円という投資枠と⽐べると少額に思えます。しかし、2023年につみたてNISAをフルで使うと、新NISAも含めて⾮課税で投資できる上限は1840万円までアップさせることができます。もちろん、2023年までにつみたてNISAを使ってきた⽅は、⾮課税投資の上限はさらに⼤きくなるでしょう。

ちなみに、つみたてNISAの代わりに一般NISAを使うのもOKですが、非課税期間が5年と短くなるため、ここではつみたてNISAよりも優先順位を下げています。

2.余裕があれば、ジュニアNISAもフル活⽤

つみたてNISA枠を2023年中に使い切れる、かつ子どもがいる場合、次に優先して取り組むべきはジュニアNISAの利⽤です。

ジュニアNISAとは、次のような制度です。

●⼦ども1⼈あたり年間80万円までの投資が⾮課税
●18歳未満の⼦どものみ利⽤できる
●⾮課税期間は、⼦どもが18歳になるまで

ジュニアNISAは⼦どもの教育資⾦をつくることが目的のため、⼦どもが18歳になるまで⾮課税となり、子どもが現在0歳なら18年間、10歳なら8年間の⾮課税メリットが受けられます。また、⼦どもが1⼈いれば80万円、2⼈いれば160万円まで枠が使えるのも特徴です。

注意点として、「我が家は⼦どもが2⼈いるけど、さすがに1年で160万円も投資できない。でも、1⼈分(80万円)なら何とか投資できそう」という⽅がいれば、必ず下の⼦の名義で投資するようにしてください。

ジュニアNISAは、2023年時点での⼦どもの年齢が低いほど、非課税期間が⻑くなります。⼦ども2⼈のうち1⼈分の枠しか使えないなら、下の⼦の枠から使うことでより⻑期間の⾮課税メリットを受けることができます。

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新NISAへ関心を持っている方は「まずは2023年に終わる制度から使い切る!」という考え方で、ぜひ旧NISAを活用してみてください。

後編では、旧NISAで投資する際の注意点と、証券アナリストである私の「2023年投資プラン」をご紹介します。

■後編:「備えて得する“新NISA”― プロが教える後悔しない『投資計画』」

※本稿は、2023年3月11日時点の情報をもとに執筆しています。

執筆/浅見陽輔

大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科を卒業後、2013年に銀行に就職。10年のキャリアで、投資運用、リスク管理、法人・個人向け融資、システム部門を経験。証券アナリスト、FP2級、簿記2級、税務上級など20種類の金融系資格を保有。趣味は優待株投資と筋トレ。本業の傍ら、Kindle(電子書籍)作家としても活動中。著書に『図解 新NISA』『トクする株主優待の選び方』『最後のジュニアNISA』『絶対に続く筋トレ』などがある。