不動産はプロと一般の人が非対称な業界

なぜこういったことが起こるのでしょうか。問題は、不動産では不動産業者と一般の方の持つ情報やリテラシーに大きな「非対称性」があるということです。十分な知識や情報がある上で、お客さまがリスクを取るのは構わないのです。しかし、不動産に関する基本的な知識や情報を相手に周知せず取引が行われているケースが、あまりに多過ぎると感じます。

不動産市場は金融市場と違い、相対取引なので、価格が決まっていないのも特徴です。買いたい人が「この値段で買いたい」と言ったら、そこに誰かが口を挟むことはなかなか難しいですし、不公平な取引も規制しにくいのです。

また、借入を前提として取得することが多い資産であることも大きいですね。例えば株式投資であれば、基本的に自己資金での取引になります。でも、マイホームの購入や不動産投資はドンと借り入れをしてから行うので、うまくいかないとマイナスを大きく抱える可能性が十分あります。最悪の場合は自己破産も……。ですから、実はかなり慎重に考えていただきたい投資であり、資産であるということです。

弊社に来ていただいたお客さまにまずマーケットのお話をするのは、「不動産価格は変動する」という基本的なことを知っておいていただきたいからです。しかも、この変動にはサイクルがあります。不動産の価格は上がったら下がるということを繰り返しているのです。