加入者も意識の改革が必要 消費者が変わればコストも下がる
最後に、私たち加入者・利用者も手続きや管理がデジタルになっていくことに合わせて、自発的な行動が求められます。投資信託は、一般に購入する際は、目論見書でその概要を理解したかを必ず確認されます。これは、購入者をトラブルから守るためです。「お金を投じる投資信託の特性や目減りする可能性、負担するコストなどを理解していますよね?」ということを確認されているわけです。
ネットで購入する際も、確認欄に「はい」とチェックを入れないと購入できない仕組みになっています。「はい」をクリックするということは、「理解した上で購入しています」ということですから、わからないのであればコールセンターやチャットなどで確認する、またはそのことについて調べて納得するという能動的な行動を消費者は求められていることになります。残念ながら、消費者にとってネットで口座開設ができ、運用指図ができるということは、負担軽減ばかりではありません。
iDeCoでも残高通知を書面でなく、メールでの通知に切り替えたとすれば、郵便物で届いていたら見る、という受け身の行動だったものを、自ら能動的に見に行く必要があります。年1回見に行くというようなことはなかなか現実的ではありませんから、マネーフォワードのような金融資産を一元管理できるアプリに紐づけして手間なく確認できるようにしておくことも必要になります。
このようにデジタル化は 加入者も、運営管理機関もこれまでと変わること、つまり、ちょっとした脱皮を求められることになるのですが、その先には、お互いにとって望ましいサービス環境が続くという、明るい未来が待っていると思います。地味な話ですが、手続きのデジタル化、本気でオープンに急ぎ議論が開始されることを期待しています。