手数料無料の投資信託にも、信託報酬がある

したがって、この手の退職金運用プランを活用して運用するのであれば、投資信託は購入時手数料を取られない、「ノーロード型」を選ぶべきなのです。しかし、残念ながらノーロード型投資信託は扱いが非常に少なく、選択の余地が狭いのが現状です。

それに、たとえ運よくノーロード型投資信託に良い商品があり購入したとしても、投資信託には信託報酬というコストが日々かかります。

信託報酬は年率で決まっていて、投資信託の保有期間に応じて、日割りで信託財産から差し引かれていくものです。つまり、投資信託を保有しているだけで、自動的にコストが差し引かれていくこの料率が、年2%前後かかります。

つまり定期預金の特別金利から得られる経済的なメリットは、投資信託を保有しているうちに無くなってしまうのです。

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このように考えると、「退職金運用プランの特別金利って、一体何なのだろうか」とさえ思えてきます。

購入時手数料がかかる投資信託を選んだら、特別金利よりもはるかに高い購入時手数料が取られ、かといってノーロード型投資信託を選べても、投資信託を保有している間に特別金利の経済的メリットは失われてしまいます。

「特別金利」などという、いかにも特別感を全面に打ち出したような言葉を用いていますが、これには全く何の経済的メリットも見いだせないことが、お分かりいただけたのではないかと思います。

長年勤めて得た退職金。大切なお金ですから、表面的な数字に惑わされず、しっかり検討した上で有効活用していくことが必要と言えるでしょう。