退職金プランに潜む罠
しかし、この手のうまい話には往々にして「裏」があるものです。決して、ホームページに掲載されている表向きの数字をうのみにして、だまされてはいけません。
特別金利は「初めの3カ月間のみ」
表向きの数字に惑わされないために、実際に計算して考えてみましょう。
まず、退職金運用プランの定期預金が年2%の利率だとしても、これは大体の場合3カ月物の「初回特別金利」と表示されています。つまり、運用で年2%の特別金利が適用されるのは、「初めの3カ月間」のみです。
例えば退職金が1000万円で、それをこの退職金運用プランに預けたとしましょう。ホームページの通りに、定期預金と投資信託(もしくはファンドラップ)の比率を50%対50%にします。
ファンドラップにすると、複数の投資信託の組み合わせになり、手数料計算がややこしくなるので、便宜上、投資信託で運用することを前提にしています。
この場合、定期預金に500万円、投資信託に500万円というポートフォリオになります。では、500万円を3カ月間、年換算2%の利率で運用した場合、3カ月間で得られる利息はいくらになるのでしょうか。
ざっくりした計算ですが、税引き前で2万円になります。ちなみに税引後だと、1万5937円です。通常の定期預金だと利率が年0.002%で、税引き後の手取り利息は20円ですから、3カ月間の特別金利で1万5917円の経済的メリットを得られたことになります。
ただし、特別金利の適用は当初3カ月間のみで、それ以降は通常金利になると明記されていますから、その後は年0.002%で計算された利息しか得られません。今後、金利水準が大幅に上昇すれば話は別ですが、現在の金利水準が続くなら、定期預金に預けた500万円はほとんど増えないことになります。