自分の老後をイメージした際に抱く「不安」はお金が理由であることが少なくありません。その不安を和らげるには、基本的には「貯蓄」や「投資」が必要です。しかし、これらを継続的に実行するには、「自分の価値観を整理し、立ち位置を確認して、どうするかを考える」ことが大事とファイナンシャルプランナー・山崎俊輔氏は言います。

話題の著書『お金の悩みは4マスで考える』では、「自身の価値観を整理し、立ち位置を確認」するのに4マス図を活用して、“見える化”することを提唱しています。今回は、本書冒頭の「はじめに」、第1章「お金とココロの問題を解決したい」の一部を特別に公開します。(全3回)

●第1回:推し活もOK、コスパの追求も不要…「自分らしいお金の増やし方」の大切さ

※本稿は山崎俊輔著『お金の悩みは4マスで考える』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

知識と理性だけでお金の問題は改善しない

非合理的な行動を解消するために「正しい知識」を持ち、「理性的行動」をとることが大事だと思われています。たしかに知識と理性があれば合理的な人間になれそうな気がします。

しかし、それがわかっていてもできる人ばかりではありません。ほとんどの人は「わかっていてもできない」ものです。

むしろココロの弱さがある人のほうがほとんどではないでしょうか。誘惑にかられてつい夜にチョコを食べてしまうような弱さもまた人間の一面です。

4マス図をうまい方向に自分を動かすきっかけにしてみよう

それでも皆さんにはアドバンテージがあります。みなさんは本書のような実用書を手にとり、学ぼうとしている理性のある人たちだからです。みなさんはただの非合理的な人間のままではいたくない、と思うからこそ読書したり情報収集したりしているはずです。

本章で紹介するココロとお金のテーマも、「今はまだ非合理的なポジションにいる」と知ることができれば、改善のきっかけがつかめます。あるいは、自分の意志の弱さを責めるくらいなら、「やり方を変える」ことのほうが効果的だというヒントが見つかるかもしれません。

例えば、「貯金しなきゃとわかっているけど貯められない」人がいます。そういう人にメンタル改善をすすめるよりも「やり方」の変更をおすすめします。

同じ1万円の貯金をする方法でも「給料振込日前日に手動でATMに入金」より「給料振込日翌日に自動引き落としで入金」するほうがサボりもなく苦痛もなく確実にお金が貯まります。お金と人間の心理を考えれば、苦しいことは先送りしないで自動化させるほうがいいからです。

ココロの揺らぎを無理に押さえつけるくらいなら、仕組みを上手に活用するほうが楽にお金の問題を解決できます。そんなヒントを探してみましょう。