今こそ「真の分散投資」を考えるべき時

これらを踏まえて今、何をすべきなのでしょうか。確かにハイイールド債券などのスプレッドが拡大しているのは事実ですが、上述のようにダウンサイド・リスクも残されているため、集中して投資するのではなく、十分に分散した投資を心がけるべきでしょう。その際に、インフレ・シナリオが続き、株式と債券が両方下がるような最悪な局面でのダメージを低減することも考える必要があります。

そのカギとなるのが、オルタナティブ投資です。オルタナティブ投資は、アメリカの著名な大学の寄贈基金や大手年金基金をはじめとする機関投資家がすでに活用していますが、最近は日本の個人投資家を対象に株式や債券との相関が低いヘッジファンドのようなオルタナティブ投資を行う投資信託が登場しています。私募不動産やプライベート・エクイティ等のプライベート・アセットも最低投資金額が徐々に下がり、個人投資家が買えるケースが出ていると聞きます。そのような資産を活用して、機関投資家のような真の分散を考える局面なのかもしれません。

このような局面で販売員やアドバイザーに求められるのは、機関投資家レベルのアドバイスを提供することで顧客の資産を短期的な混乱から守りつつ、長期で資産をしっかりと増やしていくことなのだと思います。