岸田内閣の資産所得倍増プランでは、少額投資非課税制度(NISA)の抜本的拡充や恒久化と並んで金融教育も柱に据えることになっており、昨今、金融業界では金融教育への熱が非常に高まっています。
金融教育の必要性の根拠としていつも言われるのが、日本の金融リテラシーの水準が他国より低いということ。でも、本当に日本の金融リテラシー水準は他国よりも低いのでしょうか?
金融リテラシーの水準はアメリカ人と同程度?
先日『日本経済新聞』の記事で、金融広報中央委員会が実施した「金融リテラシー調査(2022年)」の結果が紹介されていました。そこでは「複利効果」の問題への正答率が日本人は43%なのに対して、アメリカ人は72%で理解度に大きな差があると報じられていました。これだけを見ると、なんだか日本人の金融リテラシーが、アメリカ人と比べて劣っているような印象を受けるかもしれません。
しかし、このレポートを見ると、実は「複利効果」以外の5つの問題では日本人はかなり健闘しているのです。6問全体では日本人の正答率が47%であるのに対してアメリカ人は50%で、実はそこまで大きな差はありません。ちなみに、日本人はアメリカ人よりも「分散効果」や「72の法則」などについての正答率が高くなっています。
このリサーチでは金融教育を受けたと認識している人の比率も調べていて、日本人が7%であるのに対し、アメリカ人は20%となっています。これを見ると、日本人は正式な金融教育を受けた人が少ないにもかかわらず、アメリカ人と同程度の正答率となっていますから、日本人はむしろがんばっているとも言えますね。