最も大きな違いは金融知識に自信があるかどうか
一方で大きく異なる点も明らかになっています。それは、金融知識に自信がある人の割合です。日本人で自信がある人はわずか12%しかいないのに対して、アメリカ人はなんと71%もの人が、自信があると答えています。自信があるからこそ、抵抗感なく金融取引を始められるのでしょう。これが日米間の金融資産の格差を生み出している根本的な問題なのかもしれません。
でも、アメリカ人の金融知識は日本人と大差がないのに、なぜこんなに自信を持てるのでしょうか? この理由を国民性が違うからだと、簡単に片づける人もいると思います。確かに、アメリカ人と日本人では文化的違いがありますから、国民性の違いというのは間違いではないかもしれません。ただ、そう言ってしまうと、より深い議論をする機会を失ってしまうのではないでしょうか。
では、何が違いを生み出しているのでしょうか? 私は、この違いは成功体験からきていると考えています。
アメリカでは企業年金の多くが確定拠出年金になっています。その確定拠出年金では、特に何も指図を出さない場合、自動的にバランス型ファンドやライフサイクル型ファンド(ターゲット・デート・ファンド)などで、それなりのリスクを取って運用される仕組みになっています。
確かに株式市場はリーマン・ショック時や新型コロナウイルスの感染拡大時、そして足元のように大きく下落することもありますが、長期で見ればその下落を乗り越えてしっかり上昇しています。特にアメリカ人にとってのホーム・マーケットである米国株式は、長期にわたってとても力強いリターンを生み出しています。つまり確定拠出年金で自動的に運用されたお金が、結果的に大きく増えていた人が多く、知識的な根拠はそこまでなくても自信を持てるようになったのだと考えています。