老後資産の大部分を非課税で投資できる時代に
岸田政権の資産所得倍増プランの一環で、一般NISA(少額投資非課税制度)、および、つみたてNISAが一本化され、大幅に拡充されることになりました。投資期間がそれぞれ5年/20年から無期限に変更となり、年間投資上限額も一般NISA(成長投資枠)は2倍(240万円)、つみたてNISAは3倍(120万円)に拡大しますので、これから資産形成を始める現役世代にとっては、非常に魅力的な制度(以下、新NISA)に生まれ変わります。「老後2000万円問題」の議論を前提とするならば、生涯の非課税限度額が1800万円と設定されたことで、多くの人が老後資産の大部分を非課税で投資できるようになるでしょう。
これら一連のNISA改革は、将来に備えて資産形成を行いたい現役世代にとっては非常に喜ばしいことであり、より多くの投資資金の運用益に対して税金がかからなくなる分、老後までに必要な資産を形成できる可能性が高まったと言えます。今回のNISA改革によって、資産形成層へのサポートは米英と比べても遜色ない水準になるため、この点も高く評価できると思います。
一方、もしかしたら、このNISA改革はすでに資産運用を行っているシニア層にとっては、資産形成層ほどのメリットはないかもしれないとも思っています。これまでさまざまなメディアでNISA改革の良い点については数多く触れられていますので、今回はあえて私が思う新NISAの陰の部分についてお話ししたいと思います。