NISAよりもDC改革が先だったのではないか……

このようにシニア層の視点からは改善余地があると思いますが、資産形成層のサポートという点でも、もっと効果的な方法があったのではないかと私は考えています。それは、NISAよりもiDeCoを含むDC(確定拠出年金)の拡充のほうが優先順位は高かったのではないかということです。

日本の構造問題の最たるものは公的年金であり、その負担を軽くするという点で私的年金であるDCの位置づけは今後ますます高くなっていくでしょう。もちろん、資産所得倍増プランでもDC改革について議論されていますが、現時点では「iDeCoの加入可能年齢の70歳までの引き上げや拠出限度額の引き上げについて令和6年(2024年)の公的年金の財政検証に合わせて具体的な案を検討する」と述べるにとどめています。ご存じの通りDCは本人拠出分の所得税も非課税になるため、NISAよりも非課税メリットが大きく、現役世代がより十分な老後資産を形成できる可能性が高まるのです。