・国債「利回り35%」の衝撃…政府の信用失墜で暴落、経済混乱の恐怖

昨年12月、日本銀行が予想外に「イールド・カーブ・コントロール(YCC)」の修正を発表しました。それまで10年国債利回りを0.25%程度へ抑え込むとしていたところ、0.5%程度までの上昇を容認したのです。発表は予想外で、市場で10年国債利回りは急騰し、日米の金利差縮小の思惑からドル円は下落しました。

【日本10年国債利回りとドル円】

Investing.comより著者作成

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日本は24年前も、「ゼロ金利」を導入したことで市場を驚かせたことがあります。経緯を振り返りましょう。

日本が世界で初めてゼロ金利を導入

1999年2月12日、当時の速水優(はやみ・まさる)日本銀行総裁は、政策金利を史上最低の0.15%に誘導する、いわゆる「ゼロ金利政策」の導入を決定しました。政策金利とは中央銀行が金融政策を実施するために変動させる金利のことで、政策金利をゼロとするのは日本が世界で初めてでした。

金利を引き下げると、一般的に景気を押し上げる効果があります。当時はバブル崩壊に伴う不況が続いており、日本銀行は金利を極めて低い水準にとどめることで経済の刺激を図りました。

【日本の政策金利】

日本銀行「時系列データ検索サイト」より著者作成

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しかし、世界に先駆けて実施したゼロ金利政策もむなしく、日本経済は回復には至りません。導入した翌年度の名目GDPはむしろマイナス成長に陥り、リーマンショック直前の2007年度までの成長率は1%にも到達しませんでした。

【日本の名目GDP(1998年度=100)】

内閣府「国民経済計算(GDP統計)」より著者作成

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