政府の反対を押し切って利上げを断行

当時は異例だったゼロ金利政策も、現在ではこれまで多くの国で採用されました。そう考えると、日本は画期的な先駆者だったことになります。

しかし、実は日本のゼロ金利政策はすぐに撤回されました。導入から1年半たった2000年8月、同じく速水元日銀総裁の下で開催された金融政策決定会合において、政策金利を0.25%へ引き上げることが決定されます。会に出席していた政府の出席者は議決の延期を求めますが、反対多数で否決し、日本銀行はゼロ金利の解除を断行しました。

政府の制止を振り切ってまで実施したゼロ金利解除でしたが、今度はわずか半年後の2001年2月に再び導入されます。ゼロ金利を“発明”した日本銀行も、それを使いこなすことは難しかったようです。通貨の番人たる中央銀行の迷走に、国民は大いに振り回されることになりました。

【日本の政策金利】

日本銀行「時系列データ検索サイト」より著者作成

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