初心者でも制度を活用しやすい仕組み作りが大事

「DCがあったから、NISAなど、ほかの投資にも興味が持てるようになった」
「こんなに増えてるなんて! これで住宅ローンを一括返済します」
こんな声を聞くと、DC運営管理機関の仕事をしていてよかった、と思えます。前者は30代の企業担当者の感想です。DC制度の趣旨に合っており、資産所得倍増プランの第4の柱「雇用者に対する資産形成の強化」にも通じるものといえるでしょう。

一方で後者の発言は、いわゆる「無関心層」の加入者の声です。50歳直前で企業型DCがスタートし、定年退職を前にご自身の運用状況を初めて確認した時の感想です。制度スタート時にバランス型投資信託を選択し、その後、一回も運用商品の変更を行わず(運用結果の確認もせず)に60歳を迎えた、というパターンです。

加入者行動を観察していると、前者の発言のように、制度を前向きにとらえ活用できる人ばかりではない、と思えます。そうであれば、「難しいことを理解しようとしなくても、制度を活用できる仕組み」が大事なのではないでしょうか。

具体的には、指定運用方法(運用商品を本人が選択しなかった場合に運用指図したとみなされる運用商品)の設定や、ターゲットイヤー型投資信託の活用が、その一助になると思われます。また、加入時の分散投資の徹底が加入者の10年後、20年後を支える資産形成に結びつくものであるともいえるでしょう。