資産を2倍ではなく3倍に増やしたい人は?

一方、長期で積立投資をする場合、資産を投資金額の2倍にするというのはそこまで野心的な目標ではないかもしれません。投資期間が超長期である若者の中には、2倍ではなく3倍を目指したいという人もいるでしょう。

投資金額の3倍を目指したい場合には、「126の法則」ではなく「190の法則」になります。投資期間が42年であれば、190÷42年=4.5%と計算されます。3倍に目標を変えると2倍のとき(3%)よりも1.5%程度の追加リターンが必要なのが分かります。枇々木教授は2倍、3倍以外にも様々なバリエーションを用意していますので、気になった方はぜひ論文をご覧ください(枇々木規雄「126ルール:積立投資の複利効果を概算する簡単な計算ルール」2021年)。

今回は「126の法則」を紹介しましたが、いかがでしたか? 広く知られている「72の法則」よりも、積立投資が活用されている今の時代に合った計算ツールではないかと思います。

先ほど簡単に触れたように、資産所得倍増プランの下でNISAの拡充、金融教育の充実、アドバイス体制の強化が挙げられています。このタイミングで「126の法則/190の法則」も普及させることができれば、投資家の意思決定のスムーズ化、アドバイザーの提案力強化などにつながり、日本の資産運用力の底上げにつながるのではないでしょうか。私も大学の「金融リテラシー」の講義の中に「126の法則」をしっかりと盛り込みたいと思っています。