「126の法則」には副次的なメリットもある

「126の法則」とは、積立投資を行った際に運用益と投資元本が等しくなるために必要な運用期間とリターン(年率)の関係性を見たものです。毎月積み立てることを前提とすると、「126の法則」は「運用期間×リターン(年率)=126」と表現されます。

もし、運用期間が42年(大卒で23歳から65歳まで働くことを想定)であれば、126÷42年=3%と計算されます(リターン3%で毎月積立投資を行った場合、42年で投資元本の2倍の残高になる)。逆に、運用期間ではなくリターンが6%と決まっていれば、「72の法則」と同様、126÷6%=21年と逆に必要な投資期間が計算されます(リターン6%で毎月積立投資を行った場合、21年で投資元本の2倍になる)。このように「72の法則」と同様に、積立投資についてもすぐに運用期間と必要リターンを確認できるのは、これから投資を始めようとしている人にとってはとても有効だと考えられます。

このように簡単に運用期間や必要リターンを計算できることはもちろん大きなメリットですが、私は副次的な効果として、次の2つのメリットがあると思っています。

1つは、これによって投資の意思決定プロセスがスムーズになること。一般的に資産配分を考える際、自分自身に合ったリスクの中でリターンを最大化する資産配分を選択することになります。この考え方自体はリーズナブルだとしても、問題はどのくらいのリスク/リターンを取るべきなのかイメージできないということです。特に投資経験がない人には、リターン水準のイメージなどできないと思います。

でも、「定年退職までに資産を何倍にしたいか?」という質問に対してであれば、簡単に回答できるのではないでしょうか。例えば2倍にしたいならば「126の法則」を用いて、126を定年退職までの期間で割れば必要なリターンが分かります。そのリターン水準の資産配分のリスクを受け入れられるのであれば、それが最適な資産配分になります。

もう1つのメリットは、これまでFPなどのプロフェッショナルが積立投資の必要リターンを求める際には、エクセル等で簡単なシミュレーションをする必要がありましたが、「126の法則」を活用すれば直感的に素早く計算ができるようになること。要はプロがアドバイスをしやすくなるということです。いま岸田政権の「資産所得倍増プラン」において、NISAの拡充はもちろん、金融教育の充実、アドバイス体制の強化などが掲げられていますが、後者の2つに「126の法則」は貢献できるのではないかと思います。