夫が会社員で、妻が社会保険の扶養の範囲内でパート勤務……そんなご家庭も多いでしょう。
“扶養の範囲内でパート勤務”を選ぶ理由の1つに「手取りが減るから社会保険には入らないほうが良い」があると思われますが、厚生年金に加入せず扶養のままでいることが望ましいのでしょうか。
「130万円の壁」から「106万円の壁」へ
「130万円の壁」――耳にしたことがある方は多いと思います。
年収130万円とは社会保険で“扶養”と見なされる基準です。会社員や公務員の配偶者(20歳以上60歳未満)で年収130万円未満であるなど一定の要件を満たせば、国民年金第3号被保険者(会社員等の第2号被保険者の被扶養配偶者)になります。
第3号被保険者となると、その期間、個人的な年金保険料の納付は不要でありながら、保険料納付済期間として、年金の受給に必要な資格期間に算入され、65歳からの老齢基礎年金(2022年度の満額:77万7800円)の受給額の計算に含まれます。こうしたことから、扶養の範囲内で働いても将来の基礎年金は確保されるので、第3号被保険者を選んでいる人も多いでしょう。
そのようななか、社会保険の適用拡大により厚生年金の加入対象者が増えることとなりました。通常、フルタイムやその4分の3の勤務時間・勤務日数で勤務すると厚生年金の加入対象となりますが、4分の3未満であっても、
①勤務先が従業員(厚生年金被保険者)101人以上の事業所(2022年10月以降)
②週の所定労働時間が20時間以上で勤務
③賃金の月額が8万8000円以上
④継続して2カ月を超えて雇用される見込み
⑤学生でないこと
この全てを満たすことでも加入対象となります。
週20時間勤務し、年収106万円(8万8000円×12月)以上あれば、たとえ年収130万円未満でも社会保険に加入することになります。そのため、近年「106万円の壁」という言葉も登場しているとおりです。