投資先の財務状況を確認しよう

投資先にゾンビ企業を選ばないためには、企業の財務状況のチェックが重要だ。ゾンビ企業のチェックに用いられるインタレスト・カバレッジ・レシオのほかに、以下の3つの指標を見ておきたい。

1. 売上高経常利益率
2. 有利子負債月商倍率
3. 自己資本比率

売上高経常利益率とは、商品やサービスの収益力を示す指標のこと。数値が高い企業ほど、通常の営業活動において収益力が高いといえる。業種により平均値は異なるが、生存企業全体の平均は2.56%だ。それに対しゾンビ企業の平均はマイナス3.59%と、収益力が倒産水域にあると判断できる。

有利子負債月商倍率は、月の取引額に対して借入金や社債をどの程度抱えているかを示す。「短期借入金・長期借入金・社債」の合計を月商で割って求める。生存企業の平均が5.41であるのに対し、ゾンビ企業の平均は10.39。約2倍の過剰債務状態に陥っていることがわかる。一般的には3以内が安全であるとされるが、あくまでも売上規模と借入金規模のバランスを見る指標に過ぎず、高い数値が一律に悪いわけではない。

自己資本比率とは、返済不要の資本が全体の資本調達の何%を占めるかを示す指標だ。ゾンビ企業の平均は1.24%と辛うじて資産超過を維持しているものの、生存企業の平均29.24%を大きく下回っている。そのため、非常に低い割合が続いている企業には注意が必要であると考えられる。

ゾンビ企業は条件や金利が大幅に緩和された融資に依存しながら存続している。そのためコロナ関連融資の終了後に資金繰りが急速に悪化し、債務不履行や倒産に陥る可能性が高い。たとえば、ゼロゼロ融資の利子の無利子期間は早ければ2023年3月に終了する。

さらに、インフレ対策の金融引き締めを背景に、米国を始めとする世界市場でもゾンビ企業の増加傾向が見られる。日本企業以外の投資先を検討する際も、企業の財務状況と利上げのタイミングを注視し、ゾンビ企業を選ばないようにしたい。