去る8月31日、金融庁は2022事務年度の金融行政方針を公表した。「直面する課題を克服し、持続的な成長を支える金融システムの構築へ」と題した方針の目玉は何といっても「貯蓄から投資へ」の促進であり、これは岸田総理が打ち出した「資産所得倍増プラン」を受けたものでもあろう。
この中には、NISAの抜本的拡充と国民の金融リテラシーの向上への取り組みに加え、金融事業者による顧客本位の業務運営の確保に向けた取り組みの促進も含まれる。現行のNISAの拡充については、今回の金融行政方針が正式に公表される前から日本証券業協会が提言を発表するなど、少しずつ今後の方向性が明らかになってきた。
そこで今回は、各種報道から見えてきた今後のNISA改革について、4つのポイントに分けて解説する。なお、現時点でこれらのポイントはまだ「方針」や「案」の段階であり、筆者なりの解釈も含まれることはご了承いただきたい。
制度そのものと非課税期間、2つの「NISAの恒久化」
1.制度の恒久化
「NISAの恒久化」には2つの観点が含まれている。1つは、租税特別措置として時限的に導入されたNISAという制度自体を恒久化するというもの。NISAは長期の資産形成を後押しする制度として浸透しつつあるが、実は、制度自体は「期間限定」のものとしてスタートした。このため口座を開設する時期によっては、非課税枠に差が出てしまう可能性が指摘されてきた。
そしてもう1つは、非課税期間の恒久化である。現状、一般NISAで5年の非課税期間をその終了後に延長するには、翌年の枠を使用し、資産を移し替える「ロールオーバー」と呼ばれる手続きが必要になる。非課税期間自体が恒久化されれば、こうした煩雑な手続きをしなくても済むようになる。