マイカル債3500億円がデフォルト…“安全”なはずの債券にリスク

マイカルは破綻時、およそ3500億円分の債券を発行していました。債券とは、企業などが資金調達のために発行する有価証券で、発行体が満期までの利払いと満期時点における額面金額の支払いを約束して発行します。発行体との取り決めがあることから、一般的にはリスクが低い商品とされています。

マイカルは個人向けにも2回、計900億円分の債券を発行していました。利率はそれぞれ2.0%と3.25%と高く、個人投資家からの人気は高かったと考えられます。日本銀行の「時系列統計データ検索サイト」で調べたところ、2000年における4年定期預金の平均金利は0.3~0.36%でした(預入金額1000万円以上)。マイカル債がいかに高金利であったかが分かりますね。

【マイカルが発行した個人向け社債】

出所:日本証券経済研究所 格付けの上手な利用法

しかし、これまで述べた通りマイカルは破綻し、マイカルが発行する債券にも損失が発生します。企業が破産した場合、企業に残った財産を債権者で分け合いますが、マイカルの個人向け債券の弁済率は約3割にとどまりました。つまり、仮に1000万円分のマイカル債を購入していた個人は、およそ300万円しか返ってこなかったということです。これでも個人は優遇された方で、銀行などの機関投資家向けの債券は弁済率が1割にも満たない例もありました。

このように、債券の発行体の財務状況が悪化し、利息や額面金額の支払いが行われないリスクを「信用リスク」といいます。安全性の高い商品として販売されるケースも多いですが、リスクがないわけではないため注意してください。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。