インフレ圧力が高まる中、トルコは政策金利を引き下げ
8月19日、トルコ中央銀行は政策金利を100bp(ベーシスポイント:1bp=0.01%)引き下げ、1週間物レポ金利を13.00%と決定しました。7月の米国消費者物価指数は、前年同月比で8.5%の上昇となり、6月の9.1%上昇に比べれば幾分、インフレ圧力が弱まったという声もありますが、それでも米国の目標インフレ率が2%であることを考えれば、まだまだ物価上昇に対しては予断を許しません。
このように世界的にインフレ圧力が高まっているなか、トルコ中銀は政策金利を引き下げるという英断(?)に踏み切りました。
トルコのインフレ率は、7月時点で前年同月比79.6%の上昇です。ちなみにトルコ中央銀行が定めている目標インフレ率は5%ですから、大幅に乖離した状態が続いています。そうであるにも関わらず政策金利を引き下げたのは、なぜでしょうか。
第一生命経済研究所の主席エコノミスト、西濱徹氏が8月19日に発表した、「トルコ中銀の『暴走特急』は再出発」と題したレポートのなかで「金利の敵を自認するエルドアン大統領の圧力も影響した」と書いています。
これまでエルドアン大統領は、「高金利はインフレを引き起こす」という、経済学の主流である考え方とは逆の持論を展開してきました。
なぜ、このような持論になるのか、ということですが、さまざまなニュースに目を通すと、2つの見方があるようです。