改正でメリットがありそうな人は450万人?

それでは、どれくらいの方が対象になるのでしょうか。厚生労働省の2019年度のデータが参考になります。 企業型確定拠出年金の加入者は、700万人以上おられるのですが、今回の改正でざっと450万人ぐらいの方に良い影響があり、積み立てられる金額が増える可能性がありそうです。

企業型DCの掛金総額別(事業主掛金+マッチング拠出)の加入者割合
【2019年度】
出所:厚生労働省

改めてですが、iDeCo、マッチング拠出を利用すると、所得税や住民税の還付が受けられる制優遇もあります。

また、転職や会社の制度が変わった時などでも、これまでどおりポータビリティ(年金の持ち運び)は維持でき、iDeCoからDC(企業型確定拠出年金)やDB(確定給付年金)のように、移すことが可能ですので、ぜひ10月からの改正の前にご自身の状況をチェックし検討して頂きたいと思います。

10月には社会保険の改正も パート労働者に老後資金積み増しのチャンス!

さらに10月には、もう1つ大きな改正があります。それは社会保険についての改正です。パートの扶養の考え方について、よく皆さんお耳にされる【○○万円の壁】があります。これは収入によって配偶者の扶養になるか、ならないかの目安になります。

扶養と言っても、社会保険での扶養と、税金の扶養についての扶養があります。詳しくは割愛させていただきますが、今回影響があるのは、パートなどとして、年収106万円~130万円未満で扶養内で働かれている方です。

今回のような改正は、2016年10月にもありました。それまで年収130万円以上が扶養から外れる仕組みだったのですが、2016年10月からは、大きい企業(500人超の企業)のみ106万円(厳密にはその他の条件もあります)以上の方は、配偶者の社会保険の扶養から外れご自身の勤め先で社会保険に加入することになりました。

それが、2022年10月からは、100人超の企業が対象になります。その対象は、約50万人と言われています。社会保険(健康保険・厚生年金)の対象になることで、保険料を納めることになりますので、手取りが減ってしまうことになります。ただし、老後の年金は増えることになりますし、病気やケガで働けなくなった時には、健康保険からの傷病手当金があるなど、守りの部分は増えます
 
また現在、国民年金や国民健康保険に加入している一部の人は、保険料を会社と自身で折半することになるので、保険料が安くなるだけではなく、保障が手厚くなることもあります。ちなみに、同じような改正は、2024年10月にもあり、50人超の企業が対象になります。

対象となる方々は、そのままですと“手取りが減る”ことになりますので、働き方を考えるきっかけになるかと思います。収入を増やす働き方をすれば、正社員やフルタイムの契約社員となる働き方もあるかもしれません。そうすることで退職金制度もあるかもしれませんし、所得が増えることで、iDeCoの税制優遇のメリットを受けられるかもしれません。長い目で見れば、公的年金の受給額も増えることになります

今回の改正は、かなりの方にいい影響のある改正となっていますので、少しややこしい所はありますが、ぜひご自身の会社の制度や働き方を確認されることをお勧めいたします。