老齢年金は長生きリスクへの備え
先述のとおり、年金には老齢年金・障害年金・遺族年金と3種類あり、それぞれに役割があります。まず老齢年金について見てみますと、「個々人が何歳まで生きるか」というのは予測がつきません。最近は定年の延長や再雇用などで、高齢期に働く人も増えていますが、長生きした際に、高齢であるために体力的に働けないこともあるでしょう。医学の進歩もあって平均寿命はますます長くなっていますが、働けない中、長寿であればあるほど段々老後の資金がなくなる恐れがあり、長生きすること自体が(老後のマネープラン上では)リスクとなりえます。いわゆる「長生きリスク」と呼ばれる事態です。
老後資金として準備される貯蓄や退職金には限りがあり、私的年金には給付期間が有期となっていることも多いですが、公的年金の老齢年金(老齢基礎年金や老齢厚生年金)は65歳から一生涯、終身で受給することができます。
90歳、100歳と長生きしても存命中は支給され続けることになるため、これらの老齢年金は長生きリスクへの保険となるでしょう。公的年金制度からの老齢年金は老後資金のベースとなるもので、現役時代に長期間年金制度に加入し、保険料を払っているとその額も多くなりますし、繰下げ受給によって、さらに増額させることも可能です。受給額が多くできれば、長生きをしても老後資金の枯渇を防ぐこともできます。