毎月のように年金の保険料を払ってはいるものの、「将来年金をいくら受給できるか」「将来年金は本当に受け取れるのか」と気になっている人も多いことでしょう。しかし、公的年金の受給をある種の“損得”でとらえることは「公的年金は保険」であるという本質に照らし合わせれば誤解であると言えます。公的年金を本質からとらえるためにも、なぜ保険なのかということを解説していきます。
「年金=保険」とはどういうことか
公的年金は社会“保険”制度となっており、その名のとおり「保険」です。多くの人が出し合った保険料を元にして、不測の保険事故が起きた人に対して金銭給付をする仕組みが保険ですが、公的年金制度の年金給付については被保険者・加入者などから集めた保険料を主な財源としています。
現役時代、働いて収入を得られる時に年金の保険料(国民年金保険料や厚生年金保険料)を払い続け、保険事故が生じて働きたくても働けず収入を得ることが出来なくなった際に、掛けた保険料に応じ、給付としての年金を受けることになります。つまり、保険料をどれだけ納めたかで将来受け取る年金額も変わってきます。
「働けない」「収入を得られなくなる」原因として老齢、障害、死亡があり、実際それぞれの保険事故への給付として、老齢年金、障害年金、遺族年金の3種類の年金があります。公的年金への加入は老齢・障害・死亡のリスクに対しての備えとなります。
ちなみに、自分の納めた保険料が積み立てられて、積立額に応じて将来受けられる、積み立てた分を受け取ると考えている人もいますが、それも誤解です。日本の年金制度は基本的に、現役世代の保険料が現在の年金受給者の給付に充てられる賦課方式を採っており、これにより世代間扶養を実現しています(ただし、保険料の一部を将来の給付原資とする積立金制度はあります)。
保険料納付がなくても年金を受け取れる場合(例:20歳前傷病による障害基礎年金)があったり、財源について国庫負担(税金の投入)があったり、一部例外はありますが、このように公的年金は保険の仕組みで運営されています。