処方箋3:「長期的な楽観」の根拠を仕組みから確認する

さて、歴史はあくまでも過去のこと。将来、同じことが繰り返されるとは限りません。ですから、歴史が教えてくれる長期的な楽観が、なぜ、繰り返されるのか、娘にはその仕組みも理解して欲しいのです。

我が家の娘が積立投資で選んだのは、先進国株式のインデックスファンド、つまり、先進国企業で構成された株価指数に連動する商品です。このように説明すると、なんとなく指数そのものに投資しているようにも思えますが、実際にインデックスファンドが最終的に投資している先は、先進各国の個別株式になります(一部、先物商品も含みます)。

また、なんとなく “静”のイメージがあるインデックスファンドですが、過去から未来永劫、同じ株式に同じ割合でず~っと投資し続ける、というものでもありません。というのも、インデックスファンドが連動を目指す株価指数自体、その構成銘柄を定期的に見直しているからです。そこで、実際に組入上位銘柄がどれくらい入れ替わっているのか、手元で目論見書が確認できる先進国株式ファンドを例にとって、約20年前と今を比較してみました。

 

上位10銘柄で比較すると、20年前と同じなのはマイクロソフトの1社だけ。もちろん、他の企業が全て潰れたわけではありません。11位以下に名を連ねているケースもあるでしょう。

でも、ここで理解して欲しいのは、この株価指数は定期的に構成銘柄を入れ替えて、その時々の選りすぐりの優良企業の集合体であり続けている、という事実です。言わば、先進国企業のオールスターチームに投資し続けるわけですから、一時的に価格が下落、低迷しても、その後、いずれかのタイミングで必ず回復する、という確からしさが感じられると思うのです。

長期的な楽観が、このような仕組みに裏打ちされていると分かれば、実は株価が冴えない今こそ、積立投資を続けるべきであり、長期的に見れば安く仕込むチャンスになる、そんなことも娘には理解してもらえるはずです。

最後に、娘が今、実際に何に投資しているのか、具体的に確認してもらうのもいいかもしれません。組入上位銘柄を見ると、アップルにマイクロソフト、アマゾンやアルファベット(グーグルの親会社)、そしてメタ(2021年10月にフェイスブックから社名変更)などが並んでいます。私よりもZ世代の娘のほうがよく利用している会社ばかりですね(笑)。

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以上のように、積立投資が不安なときの処方箋をいくつか用意しましたが、実は娘からは一向に相談がありません。

ですから、今回の記事で紹介した積立投資の資産評価額の推移等は、あくまでも筆者である私の想像でしかありません(いや、妄想かも……)。こんな処方箋は使わないに越したことはないのですが、ちょっと寂しいですね……。すいません、親バカ丸出しで(笑)。