定年延長はいいことばかり? その影響は?
60歳で退職して再任用や再就職をしない場合、公的な医療保険は国民健康保険に加入することになります。本人は60歳を過ぎれば年金に加入する義務はなくなりますが、もし60歳未満の配偶者が扶養に入っていたときは、退職すると厚生年金の3号被保険者ではなくなり国民年金保険料の支払いが必要になります。
また、国民健康保険には扶養という制度がありませんので、これまでは直接支払っていなかった配偶者の分も健康保険料を支払うことになります。定年延長で引き続き65歳まで共済組合に加入していれば、これまで通り配偶者は被扶養者として直接保険料を負担することなく、健康保険や国民年金に加入できます。
一見メリットばかりに見える定年延長ですが、気を付けたいこともあります。
再任用と違い、定年延長は一度退職するわけではないため、退職金の支払いも後ろ倒しになります。60歳で定年退職し受け取った退職金で住宅ローンを完済したり、住宅の大きな修繕やリフォームの予定、建て替えや住み替えの資金に充てたりしようと思っていたケースでは、予定が変わってきます。
延長した定年に合わせ、計画自体をずらすことができればいいですが、難しい場合はほかの方法で資金を準備するなど計画の変更が必要かもしれません。
人生100年時代、定年延長により長く働けることは様々なメリットがありますが、セカンドライフの入り口の時期がずれるとライフプランへ大きく影響することも考えられます。収入面だけではなく健康面や家族の状況、その後の生き方なども踏まえ、改めて計画を見直してみてはいかがでしょうか。
次回は公務員の資産運用に関するよくある質問をご紹介いたします。