急速に加速する少子高齢化に伴い、働く意欲と能力のある高齢者が活躍できる場を広げるために、多くの民間企業では高齢者雇用安定法により、定年年齢の引き上げや65歳までの継続雇用制度を導入しています。これに伴い令和5年から公務員の定年も延長されることになりました。

今回は、公務員の定年延長の仕組みや注意点を解説します。

導入はいつから? 自分は関係する?

これまで公務員は一部の職員を除いては、60歳の誕生日を迎えた次の3月31日が定年退職日となっていました。令和3年の法律の改正により、この定年年齢が引き上げられますが、一度に65歳まで変わるわけではありません。

下記のように年度ごとに段階的な引き上げをし、令和13年に65歳定年の形が完成します。昭和42年4月以降生まれ(令和4年度で55歳)のかたは定年が65歳になるということです。

 

一見して、公務員の方が民間企業に比べて遅れているのではと感じるかもしれませんが、実際にはいまだに企業の約82%が60歳を定年年齢と定め(※1)再雇用などで継続雇用をしています。

再雇用制度は、一度退職したうえで、再度有期で会社と契約を結ぶため、賃金や条件が大きく変わることが多いです。その点、定年年齢そのものが引き上げられるのは民間企業に先駆けていると言ってもいいでしょう。

なお、定年年齢の引き上げは公的年金の支給開始年齢をさらに遅らせるためではないかという意見もありますが、公的年金の支給開始年齢の引き上げは予定されていません。60歳から75歳までの間でいつから受け取るかを自分で選択できるようになっています。

(※1)人事院「令和2年度民間企業の勤務条件制度等調査」
https://www.jinji.go.jp/toukei/0111_kinmujouken/0111_ichiranr02.html