年金の積み増しなど、定年延長のメリットは大きい

再任用ではなく定年延長はライフプランへ大きな影響を及ぼしますが、どのようなメリットがあるでしょうか。

・給与収入が増える
60歳で定年退職した公務員への調査(※2)では、約86%が定年退職後も働くことを希望しており、そのうち85%の人がその理由を「日々の生活費が必要だから」と回答しています。

定年延長により働ける期間が延びることで、継続して給与収入を得られることは大きなメリットと言えるでしょう。再任用でも働き続けることはできますが、再任用では定年退職時と比べ職務の級が下がったり、住居手当・扶養手当などの支給がなくなったりします。定年延長により給与水準が60歳時点と比べて7割程度になったとしても、再任用よりは高い収入を得ることができるケースが多いです。

・年金の金額が増える
年金の受給開始年齢まで引き続き厚生年金に加入し続けることで、無収入の期間をなくしたり減らしたりできるだけではなく、受給できる年金の金額を増やすことができます。仮に年収400万円で5年間厚生年金の加入を続けると、老後の年金を年間約11万円上乗せすることができます。

また、学生納付特例などを利用し年金を猶予したあとに納付していない期間があるときは、60歳以降も継続して年金制度に加入することで、老齢基礎年金相当部分を満額に近づけていくことができます。

・iDeCoの加入期間が延びる
これまでiDeCoの加入期間は60歳まででしたが、厚生年金などの公的年金の加入者でいるときは65歳までiDeCoに加入できます。トータルの積立額が増やせるだけではなく、iDeCoのスタートが遅い方でも資産を増やすチャンスが増えると言えるでしょう。

(※2)退職公務員生活状況調査(人事院)
https://www.jinji.go.jp/toukei/0151_seikatujoukyou/seikatujoukyou.html