信託報酬の一部を障がい者スポーツに寄付

ザ・2020ビジョンも、コモンズ30ファンドと同じように、信託報酬の一部から寄付を行うという建て付けになっています。違うのは寄付先で、障がい者スポーツの団体を対象にしました。

当時、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年の東京は、4人に1人が60歳以上という、非常に高齢化が進んだ都市になると言われていました。また、パラリンピックが開催されることもあり、2020年に向けて東京では、バリアフリーのためのさまざまな施設見直しが行われ、アスファルトも保水性の高い、真夏でも温度が上がりにくいものに替えられていきました。

障がい者にやさしい都市とは、高齢者にやさしい都市と同意です。高齢者にやさしいというコンセプトを持った都市は、世界中どこを探してもありません。しかし、これからはニューヨーク、ロンドン、パリ、北京、ソウルなど、世界中の都市で高齢化が進んでいきます。その先駆けとして、東京が高齢者にやさしい都市になっていくのと同時に、障がい者にもやさしい都市になっていく。そういうところから、障がい者スポーツの団体を対象にした寄付を、ザ・2020ビジョンを通じて行うことにしました。

こうして運用ファンドが2本に増え、参加型の投資信託というコンセプトが浸透し、かつ社会起業家への寄付、障がい者スポーツ団体への寄付なども順調に進んできたわけですが、危機もありました。その点については、次の最終回で触れていきたいと思います。

取材・文/鈴木 雅光(金融ジャーナリスト)

●「コモンズ投信が目指す未来。投資信託の”生産者”として質の追求へ」次回、最終話はこちら