物から心の豊かさを追求へ。新たな30年を牽引するファンド

2013年、コモンズ投信は2本目となるファンドを立ち上げました。「ザ・2020ビジョン」です。これは弊社会長の渋澤健もよく言っていることなのですが、日本は明治維新以降、「30年の破壊」と「30年の繁栄」を繰り返すという周期性を持っています。

1870年から1900年は、明治維新によって江戸時代の価値観が破壊された30年。
1900年から1930年は、明治維新を経て日本が欧米列強に肩を並べた繁栄の30年。
1930年から1960年は、太平洋戦争を挟んだ破壊の30年。
1960年から1990年は、高度経済成長とバブル経済で日本経済が経済大国にのし上がった繁栄の30年。
そして1990年から2020年はバブル崩壊による失われた30年ともいうべき、破壊の30年でした。

そうなると、日本は2020年あたりから新しいサイクルに入っていく可能性があります。折しも、2020年に東京オリンピック・パラリンピック開催が決定したこともあり、ますます2020年はエポックメイキングな年になるのではないかと考えるようになりました。日本は、果たして2020年以降、どう変わっていくのか。そこに新しいファンドを立ち上げるヒントがあるのではないかとも考えました。

思うに、日本経済が繁栄を謳歌した1960年から1990年は、モノの豊さを追求した30年でした。なぜなら人間は無いものに対する欲求が高まる生き物だからです。当時の日本はまだ物不足で、テレビや冷蔵庫など家電製品や自家用車が欲しいという欲求を誰もが持っていて、それらに対する購買意欲が、高度経済成長の源になりました。

では、今はどうなのかというと、物は溢れるほどたくさんありますが、逆に今の現代社会では心が満たされないことが多いのではないでしょうか。若い世代の人と話をしても、「就職はしないといけないのですか?」とか、「この仕事の意義って何でしょうか?」という声をよく聞きます。

したがって、物の豊かさを求めることはないけれども、きっと心の豊かさを求める30年になるのではないかと考えています。豊かさを求めるということでは、前回の繁栄の30年と同じですが、豊さの中身が「物」から「心」へと移っていく。そのなかで、SDGsやインクルージョン、ダイバーシティという概念が注目されるようになり、いよいよ時代は大きなうねりを迎えようとしています。「ザ・2020ビジョン」は、そういう時代が来ているのだということを、世の中の大勢の人たちにこのファンドの投資先の活動や寄付への取り組みを通じて体感して欲しいと思って作ったファンドだったのです。