投資信託の健康診断としてのモニタリング
前ページでお話ししたような望ましくないファンドの変化は、半期運用報告書や月次運用報告書で開示される保有銘柄数や上位銘柄の変化あるいは運用概況のコメントなどに兆候は現れているはずです。こうした変化の兆候に早く気づき、対応策を準備するために行うのがモニタリングです。言い換えれば、体の不調や病気の兆候に早く気づくための定期的な「投資信託の健康診断」と言えるでしょう。
運用目標達成確率が低下する兆候を確認
モニタリングの目的は、対象となる投資信託が運用目標を達成する確率が低下する兆候を早期に発見することです。ただし、ファンドの運用戦略によって運用目標が異なるため、モニタリングのポイントも運用戦略によって異なります。
運用目標を達成できる確度の変化(低下)に早く気づくには、定点観測のように同様のチェックを定期的に継続することが重要です。
(注2)で示しているインデックスファンド並びにアクティブファンド共通の運用目標とモニタリングのポイントについては、(2)現在の商品性でお話しします。
運用成績の確認だけでは不十分
モニタリングにおける主なチェック項目です。3つの視点からのレビューが重要です。
(1)過去の運用実績
過去の運用実績の確認方法は、評価機関による評価情報の利用と留意点を含めて、本稿でも、インデックスファンドについては、「“優れた”インデックスファンドの選び方 3 : 誤解が多いインデックスファンドの運用実績」で、アクティブファンドについては、「“優れた”アクティブファンドの選び方 7:評価機関による評価情報の利用」でご説明してきました。
モニタリングでは、評価機関による評価情報も利用しながら、以下の表でまとめましたように運用目標の達成度と同種ファンドとの比較を行います。重要なことは、各運用戦略での測定の尺度の違いと、同種ファンド間で比較する場合の分類の緻密さや正確さでしょう。
過去の運用実績の重要性に疑いを持たれる方は少数派かもしれません。しかしながら、アクティブファンドにおいては、以前本稿の「“優れた”アクティブファンドの選び方 2 : 運用成績による選定とその限界」でもお話ししましたように、過去の好運用成績が今後も好成績につながるという明確な関係性はありません。モニタリングは過去の運用成績の評価のみでは極めて不十分であることを強く認識していただくことが必要です。