大切なのは定説を鵜呑みにせず、自分事として考える癖をつけること
ただし、この「iDeCoファースト!」は、退職所得の税制メリットを最大限活かすことを前提にした受け取り方の選択肢の一つです。例えば、iDeCoの積立期間が65歳まで延長されることや上限金額が月2万円に増えることまで考慮したものではありません。もちろん、最終的な手取り金額を最大化するために、様々なシミュレーションを行うこともできるでしょう。でもその場合、運用成績次第で選択すべき受け取り方が定まらない、そんな結果になると思います。それこそ、将来、税制自体も変更されるかもしれません。そうなると、受け取り方を改めて考え直す必要もあるのです。
大切なのは、何事も定説を鵜呑みにせず、自分事(じぶんごと)として考えることでしょう。そして、こんなふうに考える癖をつけることも、現役世代の皆さまが人生100年に備えるために、「今できること」だと思います。そんな私の思いを、今回の記事からくみ取っていただけたなら、とても嬉しいですね。
なお、最後に、もし私が公務員だったらどうするか? 自分自身はちょうど65歳定年になる年代なので、たぶん、65歳までiDeCoを積み立てて、65歳で退職金を受け取った後、公的年金を繰り下げている間に年金形式でiDeCoを受け取る、そんなふうに考えると思います。税制がどんなふうに変わるのか、運用がうまくいくのかいかないのか、そんな将来のことは自分でコントロールできないことですよね。ですから、なるべく自分でコントロールできること、つまり、iDeCoで積み立てを最大限続ける、そして、公的年金を繰り下げ受給するための大前提として、今から健康管理をして65歳以降も働き続けられるようしておく、こうしたことを優先して考えたいと思うからです。ご参考まで、とは言いません。だって、先ほど、「自分事として考えることが大切だ」と申し上げたばかりですからね(苦笑)。