定説とは異なる、公務員iDeCoの受け取り方

でも、公務員は「iDeCoの受け取りは一時金で!」と早合点してはいけません。iDeCoを一時金で受け取り、その年を含めて15年※2さかのぼって他に退職金があると、「退職所得控除」が調整されるからです。極端な話、すでに退職金で「退職所得控除」を使い切っていると、iDeCoで使える「退職所得控除」はゼロになるのです。

※2 法律では「前年以前14年内」と言われるものですが、2022年4月から「前年以前19年内」に変更されます。

公務員の場合、これが極端な話ではありません。例えば、去年の秋、自宅ポストに投函されていた『広報 東京都』によれば、令和2年度に退職した東京都職員一人当たりの退職手当支給額は平均で2222万円(平均勤続年数33年11月)でした。60歳以降、iDeCo一時金をいつ受け取ったとしても、「退職所得控除」が残っている人は少ないでしょう。もちろん、「退職所得控除」がゼロだとしても、退職所得として課税される金額を半分にできるメリットは残っています。でも、税金がゼロになるわけではありませんよね。それこそ、iDeCoで積み立てできる金額が少ない公務員が60歳で退職金を受け取った場合は、65歳までにiDeCoを年金で受け取るほうが、税制上有利になると思います。