定年65歳時代の公務員iDeCoの受け取り方は?
以上は、現状の税制、iDeCo制度、そして公務員の60歳定年を前提にした考え方です。今後、公務員は65歳までiDeCoが積み立てできるようになり(2022年5月以降)、積み立てできる上限金額も月1.2万円から月2万円に増える(2024年12月以降)ことになります※3。また、現在60歳の公務員の定年も2023年度から段階的に引き上げられ、2031年度には65歳になる予定です(誕生日が昭和42年4月2日以降の公務員は定年が65歳になるようです)。まだ先の話になりますが、頭の体操として、定年65歳時代の公務員iDeCoの受け取り方を考えてみましょう。
※3 詳しくは『公務員に朗報!2024年、iDeCo掛金が月額2万円にアップ』ご参照
先ほど、iDeCoを一時金で受け取った場合、その年を含めて15年(2022年4月からは20年)さかのぼって他に退職金があると「退職所得控除」が調整される、という話をしました。これは言ってみれば、退職金が先でiDeCo一時金が後、という関係です。もう少し分かりやすく言うと、iDeCo一時金が後だと15年(あるいは20年)さかのぼって、他に退職金がないかどうか確認しなければならない、ということです。
実はこれが逆の関係だと、つまり、iDeCo一時金が先で退職金が後だと、後の退職金を受け取った年を含めて、さかのぼるのは5年(法律では「前年以前4年内」と言います)だけでいいのです。従って、iDeCo一時金を受け取って、5年後に退職金を受け取れば、それぞれ退職所得として合算すべき他の退職金やiDeCo一時金はない、そういうことになるのです。当然、「退職所得控除」を調整する必要もなく、それぞれの積立期間や勤続年数に応じた「退職所得控除」も満額適用になります。ですから、iDeCo一時金と退職金の受け取り時期の関係で、税制上、最も有利なのは「iDeCoファースト!」だと言えるのです。
でも、この「iDeCoファースト!」は使いたくても使えない、そんなロジックでした。なぜなら、iDeCoは60歳を前倒しして受け取ることができないですし、公務員も60歳定年で退職金を後ろにずらして受け取ることもできないからです。ですから私が講師を務める公務員向けのセミナーでも、話したくても話せない、そんなネタが「iDeCoファースト!」だったのです。
もう勘のいい人は気づいていらっしゃるでしょう。公務員の定年が65歳になると、この「iDeCoファースト!」が使えるロジック、話せるネタになることを。60歳でiDeCo一時金を受け取り、65歳で退職金を受け取れば、税制上、とても有利な退職金の優遇措置を思う存分、享受できることになるのです。定年65歳時代になれば、公務員は「iDeCoファーストで受け取りは一時金!」が話題になるかもしれませんね。