今後、高年齢雇用継続給付は段階的に縮小される

高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)が改正され、高年齢者雇用安定法に基づく高年齢者雇用確保措置の義務年齢が2013(平成25)年度に65 歳まで引き上がりましたが、高年齢雇用継続給付は、実態として労使間で広く定着し、高年齢者の雇用促進に重要な役割を果たしている現状があります。

しかしながら、今後は60 歳以上 65 歳未満労働者を取り巻く状況に合わせ、この高年齢雇用継続給付にも変化が訪れます。

現在、60 歳以上 65 歳未満の労働者に対する「継続雇用制度」が実施され、2025(令和7)年度には継続雇用対象労働者の限定に関する経過措置が終了し、60歳以上65歳未満の全ての労働者は希望すれば継続雇用制度の対象者となります。さらに、60~64 歳の就業率は68.8%(平成30 年)、希望者全員が65 歳以上まで働ける企業の割合は 78.8%(令和元年)に達しています。

こうした状況を踏まえ、雇用継続給付としての高年齢雇用継続給付については、段階的に縮小することが適当であると報告※5され、2025(令和7)年度から新たに60歳となる労働者への給付率は15%から10%へと、縮小されることが決まっています。

※5 厚生労働省「第137回 労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会」にて

まとめ

制度発足当初、老齢年金の支給開始年齢が55歳でした。累次の改正により、60歳、65歳と徐々に引き上げられ、現在に至っています。

老齢年金を65歳から受け取るとすると60歳定年の会社に勤める人には、60歳から65歳の間は収入がない、もしくは低額となる空白の5年間となり、生活設計に悩む人がいるかもしれません。

改正高年齢者雇用安定法により、高年齢者雇用確保措置の義務年齢が65歳となれば、高年齢雇用継続給付も段階的に縮小となることに納得できるでしょう。また、雇用保険も公的年金も社会保障給付であるため、併給するには調整が入ることも納得いただけるかと思います。

ただ、いざ実際に年金が減らされているのを目にしたら、「えっなぜ?」と驚かれることもあるかもしれません。分かりにくい制度には丁寧な解説が必要ですね。そんな時は、年金事務所や社労士などプロに遠慮なくお尋ねいただければとも思います。