• 老後の資産運用の選択肢拡大:長寿年金や変額年金の活用

実態調査とは関係ないが、老後の資産運用の選択肢を充実させることも必要なのではないか。具体的には、老後の資産を引き出す局面に適した商品や老後の給付を保証してくれる保険商品をもっと強化することで、加入者への安定的な給付の提供を図るべきと考える。現在でも保険商品は存在するが、低金利の現状では、資産形成時にはわずかなリターンしか得られず、年金化しても給付額が十分なものにならない。つまり長生きリスクに対応できていない。

このような問題があるのは日本だけではない。この問題に対応すべく、アメリカでは80歳などの高齢期になってから支給を開始する長寿年金や、株式からのリターンを給付に変える変額年金のスキームが確定拠出年金でも利用されている。長寿年金は支給開始年齢まで生存した場合、支給開始年齢に達する前に亡くなった人の分だけ高い給付を終身で受け取れるが、早死にすれば何も受け取れない年金であり、この掛け捨て的な特性を嫌がる人もいるだろう。また日本では変額年金というと金融機関が外貨建ての商品を高齢者に対して乱売したこともあって良いイメージがないが、仕組み自体は非常に有用である。低金利の中での安定的かつ十分な給付を提供する一つの手段として、長寿年金や変額年金をもっと検討してもよいのではないか。

まとめ:指定運用方法の有効活用

これまでETFを活用する、ESGを取り入れる、オルタナティブ投資を取り入れる、老後の選択肢を増やすといった話をしたが、はっきり言ってこれらを理解し、自分で適切に行動することはかなり困難だろう。そのような中で検討すべきは、指定運用方法の有効活用ではないだろうか。指定運用方法を、これらを考慮した高度な商品設計にしておけば、加入者は自ら意識しなくても、さらなる分散やインフレ・ヘッジなどの効果を享受することができる。実際、アメリカでは、ターゲット・イヤー型ファンドに変額年金の概念を組み合わせた商品がデフォルト商品として普及し始めている。

DCがDBに匹敵する年金になっている今だからこそ、指定運用方法をもっと高度化することで、加入者の運用も高度化させるべきではないかと考える。

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第3回 確定拠出年金の将来:指定運用方法の有効活用

 

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