企業型DCの資産をiDeCoに移して受け取ることを検討した方がいいケース

メリット・デメリットを見てきましたが、企業型DCの資産をiDeCoにまとめるということを前向きに検討したらよいと思うケースは、2つあります。1つは勤務先の企業型DCの口座管理料が60歳以降は自己負担である場合、もう1つは企業型DCの商品ラインナップよりもiDeCoで契約する金融機関の商品ラインナップが魅力的である場合、です。

iDeCoにまとめる場合は、受け取りは積み立て終了後

iDeCoに企業型DCの資産をまとめる話をセミナーでお伝えしたら、次のようなご質問をいただきました。「うちの会社の企業型DCは60歳になって運用指図者になると口座管理料が年間千円かかるのです。ですから、資産をiDeCoに移そうと思います。iDeCoに移せば、企業型の口座管理料を負担せずiDeCoに加入しながら、年金として受け取ることは可能ですか?」というものです。

これに対する回答は「NO」です。それは、この連載の第1回「iDeCoの法改正前に60歳を迎える私はどうしたらよいの?」で解説したとおり、iDeCoでは受け取りと積み立てを同時に行うことはできないからです。老後資産を取り崩して受け取るのであれば、税メリットを受けて老後資産準備をすることはできません。受け取りを開始してしまったら、iDeCoでの積み立てはできません。iDeCoで掛け金の全額所控除というメリットを受けながら65歳まで老後資産を増やすのであれば、企業型DCから移した資産も含めて積み立てが終了した65歳以降になってから、年金または一時金で受け取りを開始することになります。

資産をまとめると、受け取りもまとめて行うことになりますのでこの点も問題がないか確認の上、手続きを進めていただきたいと思います。

年末調整、確定申告の手続きも忘れずに

iDeCo加入者の皆さんの手元には11月初旬に圧着はがきで「小規模企業共済等掛け金払込証明書」が届いていると思います。年末調整や確定申告で所得控除のための申告を忘れずに行ってください。ちなみにこの圧着はがき、住所変更などを運営管理機関にきちんと届けていないと届かなくなってしまうので気を付けてください。届いていないという方、または、紛失してしまった場合は、早めに運営管理機関に連絡し、再発行の手続きなどを行ってください。ご存じの通りiDeCoは手続きに時間がかかるので、急がないと確定申告にさえ間に合わなくなりますよ。