finasee Pro(フィナシープロ)
新規登録
ログイン
新着 人気 特集・連載 リテール&ウェルス 有価証券運用 金融機関経営 ビジネス動画 サーベイレポート
注目!チャレンジする地銀

経営、本部、販売現場が価値観を共有し「真のコンサルティング営業」の実践へ case of ちゅうぎんフィナンシャルグループ/中国銀行

Ma-Do編集部
Ma-Do編集部
2025.12.05
会員限定
経営、本部、販売現場が価値観を共有し「真のコンサルティング営業」の実践へ case of ちゅうぎんフィナンシャルグループ/中国銀行

資産運用に対する機運がかつてないほどに高まる昨今、販売会社は投資に対する顧客の理解を深め、その裾野を広げるべく、日々さまざまな取り組みを行っている。顧客本位の資産運用に対する特徴ある取り組みを行っている販売会社に注目し、その取り組みや意義について担当者に迫るシリーズ企画です。

先進的な商品戦略など独創的な取り組みで、資産運用業界から常に注目を浴びてきた中国銀行。2022年にはちゅうぎんフィナンシャルグループを設立して持株会社制に移行し、さまざまな改革を進めてきたが、預り資産ビジネスにおいてもさらなる進化を遂げようとしている。
その牽引役である取締役常務執行役員の山縣正和氏をはじめとする3人のキーパーソンの話をもとに、同行が目指す新たな姿と、改革を根底で支える理念を明らかにしたい。

 

2024年6月、中国銀行は大胆な組織再編に踏み切った。具体的には、従来の営業統括部、ソリューション営業部を、コンサルティング営業部、デジタル・リテール営業部に再編。個人セグメントは営業統括部、法人セグメントはソリューション営業部と分かれていた体制を、個人、法人の縦割りではなく、顧客の資産規模などによる独自の基準の階層で横に分ける体制に変更した。

そのうち上位層をコンサルティング営業部が、それ以外のリテール層をデジタル・リテール営業部が担当。営業店の担当者は原則として上位層のみに対応し、リテール層はリテール特化型の店舗であるライフプランセンターや新設された資産運用サポートデスク、さらにはアプリやWebなどの非対面チャネルで対応する。 

「個人営業の役割強化」で「売らない担当者」を育成

中国銀行 取締役常務執行役員 山縣 正和氏

それまで対応していた顧客であっても、階層によっては対面で対応できなくなるわけだから、再編は販売現場にとって劇的な変化と言っていい。当然、少なからぬ混乱もあったはずだが、まさにこの変革のタイミングで取締役常務執行役員に就任し、営業全体を統括する立場となった山縣正和氏も、「確かに戸惑いはあったと思います」と話す。「再編の趣旨は理解しても、そう簡単には割り切れないのも確かでしょう。それでも、この1年強で着実に変化してきているのは間違いありません」

事実、変化は数字としても表れていて、同行が上位層と位置付ける顧客自体も2024年9月末の約7万8000先から2025年9月末には約8万6000先まで増加。対面でコミュニケーションを取った顧客も、同じく約4万9000先から約5万9000先まで増加し、実際に提案などのアプローチを行った活動件数では、2025年4月を基点に以前の半年間が約16万件だったのに対し、以降の半年が約20万件と実に4万件ほど増えている。

リテール層に対しても、4月から本格稼働している資産運用サポートデスクが効果を発揮し、営業店の活動件数が減った分、2万件近くをカバーしている。この資産運用サポートデスクは、電話とWeb面談で顧客に対応する、いわば対面と非対面の中間に位置するチャネル。現在は20人の体制で、しかも立ち上げメンバーにはトップセールスを配置するなど、リテール層への対応も決して疎かにはしていない。組織再編、顧客セグメントとチャネル戦略の変更の成果は、間違いなく表れてきているわけだ。

さらに2025年4月には「個人営業の役割強化」を打ち出し、活動の数に加えて「中身」を重視する姿勢を明確にした。「想定していた以上に成果が出てきているという声がある半面、私自身は担当者がまだ『物売り』から脱却しきれていないという問題意識を持っていました」と、山縣氏は新たな施策の背景をそう説明する。

上位層の顧客は経営者や不動産所有者などの富裕層が中心で、抱えている悩み、ニーズは多岐にわたり、必要とする商品・サービスも本来は幅広いはず。しかし、実際の提案は運用商品や保険に偏っていたのも否めない。今回の施策で目指しているのは「真のコンサルティング営業の実践」で、多彩なラインアップの中から顧客に適した商品・サービスを提供することだという。

そのラインアップは、4つのカテゴリーに分けて整理された(P20図参照)。従来の「運用」の他、遺言信託や事業承継コンサルティングなどの「承継」、資産を可視化するサービスやアパートローンなどの「管理」に加え、ユニークなのは旅行の斡旋や医療・介護サービスのマッチングなどの「活用」だろう。「活用」のニーズの掘り起こしに成功すれば、銀行の可能性を広げることにつながり、新たなビジネスチャンスを生むに違いない。こうした多様な商品・サービスによる収入を「コンサルティング収入」として個々に評価する仕組みも取り入れた。

この役割の強化に伴い、営業担当者の呼称も従来の「ライフプランアドバイザー」から「ウェルスコンシェルジュ」へと変更。「やや極端に言えば、理想は『売らない担当者』です」と山縣氏は話す。「売るという行為ではなく、お客さまの幅広いニーズに対応し、必要な情報をまずお届けする。あくまでその結果として、販売という成果もついてくるという考え方です」

先進的な商品戦略など独創的な取り組みで、資産運用業界から常に注目を浴びてきた中国銀行。2022年にはちゅうぎんフィナンシャルグループを設立して持株会社制に移行し、さまざまな改革を進めてきたが、預り資産ビジネスにおいてもさらなる進化を遂げようとしている。
その牽引役である取締役常務執行役員の山縣正和氏をはじめとする3人のキーパーソンの話をもとに、同行が目指す新たな姿と、改革を根底で支える理念を明らかにしたい。

続きを読むには…
この記事は会員限定です
会員登録がお済みの方ログイン
ご登録いただくと、オリジナルコンテンツを無料でご覧いただけます。
投資信託販売会社様(無料)はこちら
上記以外の企業様(有料)はこちら
※会員登録は、金融業界(銀行、証券、信金、IFA法人、保険代理店)にお勤めの方を対象にしております。
法人会員とは別に、個人で登録する読者モニター会員を募集しています。 読者モニター会員の登録はこちら
※投資信託の販売に携わる会社にお勤めの方に限定しております。
モニター会員は、投資信託の販売に携わる企業にお勤めで、以下にご協力いただける方を対象としております。
・モニター向けアンケートへの回答
・運用会社ブランドインテグレーション評価調査の回答
・その他各種アンケートへの回答協力
次のページ 「物売り」からの脱却、土台は「ライフサポート活動」に
1 2 3

関連キーワード

  • #地銀
  • #NISA
  • #フィデューシャリー・デューティー
前の記事
「ゴールベース資産管理」の実践を通じストックビジネスへの転換を加速させていく case of 足利銀行
2025.09.03

この連載の記事一覧

注目!チャレンジする地銀

経営、本部、販売現場が価値観を共有し「真のコンサルティング営業」の実践へ case of ちゅうぎんフィナンシャルグループ/中国銀行

2025.12.05

「ゴールベース資産管理」の実践を通じストックビジネスへの転換を加速させていく case of 足利銀行

2025.09.03

「自立と連携」を掲げて試行錯誤を重ね、確立された「銀証連携」モデルが新時代を拓く case of しずおかフィナンシャルグループ

2025.06.09

「投信のパレット」の進化形でコンサルティングのさらなる高度化へ case of ふくおかフィナンシャルグループ

2025.03.13

「リターンの提供」に徹底的にこだわりつつ
法個一体で対面の付加価値も高めていく

2024.12.12

わずか2カ月強で協定締結を実現!
常陽銀行が始めた「5金融機関と教育委員会」との金融教育

2024.11.26

若手有志が始めた公式Instagram「つみ活女子のきんゆう講座」
「気軽に相談できる地域金融機関」の強みを体現する取り組みに

2024.11.13

「正しい」資産運用を地域に提供し、獲得した信頼で残高を拡大させていく case of 広島銀行

2024.09.18

静岡経済の発展のため、長期的視野で取り組む「金融経済教育」
その土地とともに成長する企業としての義務を果たす

2024.06.27

おすすめの記事

資産運用立国の実現に向けた官民対話の新たな挑戦──「資産運用フォーラム」が描く日本市場の未来とは
③日本の金融リテラシー向上へ、将来の資産運用を支える人材を育てる

finasee Pro 編集部

資産運用立国の実現に向けた官民対話の新たな挑戦──「資産運用フォーラム」が描く日本市場の未来とは
②DX・企業価値・サステナ・オルタナの4分野で日本を動かす

finasee Pro 編集部

資産運用立国の実現に向けた官民対話の新たな挑戦──「資産運用フォーラム」が描く日本市場の未来とは
①国内外の金融50社超が参加!資産運用フォーラムが目指すもの

finasee Pro 編集部

日本初のハンセンテック指数連動ETFが東証上場―注目浴びる“中国テック株”が投資の選択肢に

Finasee編集部

10億円以上の資産家が多いのは山口県、北陸ではNISA活用が進む。県民性から読み解く日本人の投資性向とは?

Finasee編集部

著者情報

Ma-Do編集部
ま・どぅへんしゅうぶ
「Ma-Do(Marketing-Do)」は、銀行や証券会社といった金融機関でリテールビジネスに携わるプロフェッショナルに向けた専門誌です。「資産所得倍増プラン」の旗印のもと「貯蓄から資産形成」への機運が高まる昨今、金融機関の資産運用アドバイザーの役割はますます高まっているとともに、リテールのビジネスもさらなる発展が求められています。「Ma-Do」は、投資信託を資産運用のコアとしてアドバイスを行う銀行や証券会社、IFAなどと、運用会社や保険会社をつなぐコミュニティ・メディアとして、金融リテール・ビジネスの発展をサポートする情報を発信しています。
続きを読む
この著者の記事一覧はこちら

アクセスランキング

24時間
週間
月間
J. フロント リテイリングに聞く企業型確定拠出年金制度運営の秘訣―継続投資教育の参加率が驚異の80%超えの理由とは?
SBI証券で再び米国大型テック株への関心高まる、新設「メガ10インデックス」もランクイン
「中途半端は許されない」不退転の覚悟で挑むリテール分野への新たなるチャレンジ case of 三菱UFJフィナンシャル・グループ
【文月つむぎ】運用立国議連の新「緊急提言」を読み解く!NISA、税制の見直しで対応が求められる3つのポイント
経営、本部、販売現場が価値観を共有し「真のコンサルティング営業」の実践へ case of ちゅうぎんフィナンシャルグループ/中国銀行
【プロはこう見る!投資信託の動向】
NISAに必要か?「毎月分配型」「債券メイン」ファンド、「特定の年齢層対象の制度」
新たな商品・制度の導入は、投資家のリスク許容度・理解度が鍵
【金融風土記】東日本大震災からまもなく15年、福島の金融勢力図を読む
「支店長! お客さまへ良い提案をするためのコンサルティング能力はどうやって向上させればいいですか。何に関心を持つべきでしょう」
第16回 資産運用にまつわるさまざまな常識を疑え!【総集編】
「資産運用において疑うべき常識」を振り返る
【運用会社ランキングVol.1】販売会社が運用会社に求めるものは、運用力か人的支援か? 2025年の評価を発表!
「中途半端は許されない」不退転の覚悟で挑むリテール分野への新たなるチャレンジ case of 三菱UFJフィナンシャル・グループ
【金融風土記】東日本大震災からまもなく15年、福島の金融勢力図を読む
【プロはこう見る!投資信託の動向】
NISAに必要か?「毎月分配型」「債券メイン」ファンド、「特定の年齢層対象の制度」
新たな商品・制度の導入は、投資家のリスク許容度・理解度が鍵
J. フロント リテイリングに聞く企業型確定拠出年金制度運営の秘訣―継続投資教育の参加率が驚異の80%超えの理由とは?
第16回 資産運用にまつわるさまざまな常識を疑え!【総集編】
「資産運用において疑うべき常識」を振り返る
【連載】藤原延介のアセマネインサイト㉖
~米国投資信託最新事情
ミューチュアルファンド初の30兆ドル突破も、米国株ファンドから過去最大の資金流出
「支店長! お客さまへ良い提案をするためのコンサルティング能力はどうやって向上させればいいですか。何に関心を持つべきでしょう」
【運用会社ランキングVol.3/販売会社一般編②】販社からの評価を高める「野村」の底力と「フィデリティ」の運用力、2年連続で総合トップの「アモーヴァ」は安泰か
【運用会社ランキングVol.1】販売会社が運用会社に求めるものは、運用力か人的支援か? 2025年の評価を発表!
毎月分配型解禁見送りと運用立国の「親離れ」――地銀は新強化プラン+口座付番義務化で”地域金融出先機関”に?
【オフ座談会vol.10:かやば太郎×本石次郎×財研ナオコ】
【金融風土記】東日本大震災からまもなく15年、福島の金融勢力図を読む
【新連載】プロダクトガバナンス実践ガイド~製販情報連携の背景と事例
①プロダクトガバナンスが注目される背景と製販情報連携の重要性
【プロはこう見る!投資信託の動向】
NISAに必要か?「毎月分配型」「債券メイン」ファンド、「特定の年齢層対象の制度」
新たな商品・制度の導入は、投資家のリスク許容度・理解度が鍵
【連載】こたえてください森脇さん
⑪預かり資産業務に対するマネジメント層の理解が低い
【運用会社ランキングVol.1】販売会社が運用会社に求めるものは、運用力か人的支援か? 2025年の評価を発表!
「中途半端は許されない」不退転の覚悟で挑むリテール分野への新たなるチャレンジ case of 三菱UFJフィナンシャル・グループ
【みさき透】高市内閣で「運用立国」から「投資立国」へのシフトが加速へ
【連載】こたえてください森脇さん
⑫元本保証でない商品の販売を嫌がる職員への働きかけ
長野市vs松本市"不仲説"を乗り越え統合の八十二銀・長野銀が、「もう取引しない」と立腹の取引先と雪解けに至るまで
【文月つむぎ】証券口座乗っ取り被害ゼロへ 金融庁の新監督指針を読み解く
ランキングをもっと見る
finasee Pro(フィナシープロ) | 法人契約プランのご案内
  • 著者・識者一覧
  • 本サイトについて
  • 個人情報の取扱いについて
  • 当社ウェブサイトのご利用にあたって
  • 運営会社
  • 個人情報保護方針
  • アクセスデータの取扱い
  • 特定商取引に関する法律に基づく表示
  • お問い合わせ
  • 資料請求
© 2025 finasee Pro
有料会員限定機能です
有料会員登録はこちら
会員登録がお済みの方ログイン
有料プランの詳細はこちら