finasee Pro(フィナシープロ)
新規登録
ログイン
新着 人気 特集・連載 リテール&ウェルス 有価証券運用 金融機関経営 ビジネス動画 サーベイレポート
藤原延介のアセマネインサイト

【連載】藤原延介のアセマネインサイト
⑩2024年1-6月は記録的資金流入に!新NISAがもたらした変化

藤原 延介
藤原 延介
BNPパリバ・アセットマネジメント マーケティング部
2024.08.01
会員限定
【連載】藤原延介のアセマネインサイト<br />⑩2024年1-6月は記録的資金流入に!新NISAがもたらした変化

2024年上期(1-6月)の株式相場は、極めて堅調な動きとなりました。日経平均株価は年1989年に記録した過去最高値を約34年ぶりに更新するなど、半年間で18.3%の上昇となりました。米国株式は、米S&P500指数で14.5%、米ナスダック総合指数は18.1%の上昇となっていますが、外国為替市場で大幅な円安外貨高が進んだので、国内投資家にとって極めて良好な投資環境となりました。こうした環境下で始まった新NISAの効果もあり、投資信託市場も歴史的な活況を呈しています。今回の連載では1-6月の投信市場の資金動向を確認するとともに、新NISAが始まった半年間で見られた変化についても見ていきたいと思います。

投信残高は過去最高の更新続く

個人投資家の動きを反映すると言われる上場投資信託(ETF)を除く公募株式投信の純資産残高は、6月末時点で132.0兆円に達しました。コロナ禍を経て、2021年に入ったあたりから投信残高の増加はつづいており、月次で見ても8カ月連続で過去最高を更新しています。また投資対象となる資産クラス別に見ると、外国株式型が69.4兆円で全体の53%と、ついに過半を超えるまで存在感を高めています。5年前の2019年6月末時点では外国株式型は18.0兆円で、全体の28%にとどまっていました。この5年間で、外国株式型の残高は50兆円を超える増加となっており、個人投資家が投資信託を活用する形で外国株式投資の残高を拡大させていったことがうかがえます。なお、この5年間で外国株式型の次に残高の増加額が大きかった分類はアロケーション型の7.5兆円増、次いで国内株式型の6.6兆円増となっています。債券相場が低調となる中で株式の値上がりを反映した部分も大きかったとは思いますが、2018年からスタートしたつみたてNISAにおいて、対象商品が一定の株式投資を行っているものに限定されたこともその一因となったと思われます。

 

資金流入額も歴史的水準に

続いて、過去5年間における資金フローも見ていきましょう。2024年上期の資金流入額は+8.4兆円と、半年間の資金流入額としては歴史的な水準となりました。投資信託協会のデータによれば、6カ月間での資金流入額としては2007年1-6月の資金流入額+8.6兆円が過去最大となっており、これに匹敵する高水準です。ちなみに、年次データでは2007年の+14.3兆円が過去最大で、当時は米サブプライムローン問題の表面化によって年後半の資金流入が減速したため、2024年下期の資金流入ペースが落ちなければ、これを塗り替えることも期待されます。

投資対象のタイプ別に見ると、2024年上期は外国株式型への資金流入が+6.8兆円と圧倒的な大きさで、次いで国内株式型が+8600億円程度となるなど、株式相場の好調を背景に引き続き株式型(外国株式型と国内株式型)に資金流入が集中していす。また、アロケーション型の+4600億円、外国債券型の+3000億円と続いています。個別ファンドで見ると、新NISA前後で売れ筋商品の顔ぶれが大きく変わっている訳ではありませんが、上位2ファンドの低コストのインデックスファンドへの資金流入額が+2.4兆円程度と圧倒的な大きさとなっています。3位と4位は新NISAの対象となっていない毎月決算型の外国株式ファンドですが、この2本は合計で+8300億円となっており、やはり新NISAによるインデックスファンドの人気の高まりが示されていると言えそうです。

 

パッシブファンドが資金流入をけん引

こうしたパッシブ運用を行うインデックスファンドは、つみたてNISAがスタートした2018年頃からその注目が高まってきましたが、実際の資金フローはどのようになっているのでしょうか。以下、投信評価を手掛けるモーニングスターのパッシブ運用に関するデータ項目を用いて見てみましょう。以下に示した通り、パッシブ運用となっているファンドの純設定額を集計すると、グラフの期間で一貫して資金流入になっていることが確認できます。パッシブ運用以外を「アクティブ」として集計すると、2022年まではアクティブ運用への資金流入額が、パッシブ運用を上回っています。しかし、2023年は上期・下期ともに拮抗しながらもパッシブ運用への資金流入額が若干上回り、新NISAがスタートした2024年上期にはパッシブ運用が+5.4兆円、アクティブ運用が+3.1兆円と大きくその差が開き、パッシブ運用が資金流入を大きくけん引した形となっています。2024年上期に歴史的な水準の資金流入額が見られた背景には、新NISAでつみたて投資枠(年120万円)が従来のつみたてNISAの投資枠(年40万円)の3倍になるなど、パッシブ運用を行う商品にとっての制度面の追い風も大きな要因になったと言えるでしょう。

 

2024年上期(1-6月)の株式相場は、極めて堅調な動きとなりました。日経平均株価は年1989年に記録した過去最高値を約34年ぶりに更新するなど、半年間で18.3%の上昇となりました。米国株式は、米S&P500指数で14.5%、米ナスダック総合指数は18.1%の上昇となっていますが、外国為替市場で大幅な円安外貨高が進んだので、国内投資家にとって極めて良好な投資環境となりました。こうした環境下で始まった新NISAの効果もあり、投資信託市場も歴史的な活況を呈しています。今回の連載では1-6月の投信市場の資金動向を確認するとともに、新NISAが始まった半年間で見られた変化についても見ていきたいと思います。

続きを読むには…
この記事は会員限定です
会員登録がお済みの方ログイン
ご登録いただくと、オリジナルコンテンツを無料でご覧いただけます。
投資信託販売会社様(無料)はこちら
上記以外の企業様(有料)はこちら
※会員登録は、金融業界(銀行、証券、信金、IFA法人、保険代理店)にお勤めの方を対象にしております。
法人会員とは別に、個人で登録する読者モニター会員を募集しています。 読者モニター会員の登録はこちら
※投資信託の販売に携わる会社にお勤めの方に限定しております。
モニター会員は、投資信託の販売に携わる企業にお勤めで、以下にご協力いただける方を対象としております。
・モニター向けアンケートへの回答
・運用会社ブランドインテグレーション評価調査の回答
・その他各種アンケートへの回答協力
1

関連キーワード

  • #公募投信
  • #NISA
前の記事
【連載】藤原延介のアセマネインサイト
⑨20兆円に迫るラップ口座で、債券への資金配分が拡大
2024.07.01
次の記事
【連載】藤原延介のアセマネインサイト⑪
~米国投資信託最新事情
米投信は、ミューチュアルファンドから新しい金融商品へ進化
2024.09.02

この連載の記事一覧

藤原延介のアセマネインサイト

【連載】藤原延介のアセマネインサイト㉓
~米国投資信託最新事情
拡大続く米ETF市場、アクティブETFの本数はついにインデックスETF超え!

2025.09.01

【連載】藤原延介のアセマネインサイト㉒
外国株式ファンドの資金流入減速とトレンド変化の兆し

2025.08.01

【連載】藤原延介のアセマネインサイト㉑
パフォーマンス好調な欧州株ファンドに約11年ぶり高水準の資金流入

2025.07.01

【連載】藤原延介のアセマネインサイト⑳
~米国投資信託最新事情
2025年1〜3月の米投信動向と米投信業界のさらなる進化

2025.06.02

【連載】藤原延介のアセマネインサイト
⑲高齢者向けNISA創設の報道で再注目される毎月分配型ファンド

2025.05.01

【連載】藤原延介のアセマネインサイト
⑱日経平均下落で日本株ファンドに資金流入も、アクティブ型の人気に陰り

2025.04.01

【連載】藤原延介のアセマネインサイト⑰
~米国投資信託最新事情
2024年の米投信市場を振り返る 米ETFに1兆ドル超の資金流入、残高10兆ドル突破!

2025.03.03

【連載】藤原延介のアセマネインサイト
⑯外国株式ファンド中心に過去最高の資金流入を記録した2024年投信市場

2025.02.03

【連載】藤原延介のアセマネインサイト
⑮不安定な相場で存在感高まるアセットアロケーション運用

2025.01.07

【連載】藤原延介のアセマネインサイト⑭
~米国投資信託最新事情
米ETFが10兆ドルに迫る!ミューチュアルファンドもETFも債券シフトの動き

2024.12.02

おすすめの記事

資産運用立国の実現に向けた官民対話の新たな挑戦──「資産運用フォーラム」が描く日本市場の未来とは
③日本の金融リテラシー向上へ、将来の資産運用を支える人材を育てる

finasee Pro 編集部

資産運用立国の実現に向けた官民対話の新たな挑戦──「資産運用フォーラム」が描く日本市場の未来とは
②DX・企業価値・サステナ・オルタナの4分野で日本を動かす

finasee Pro 編集部

資産運用立国の実現に向けた官民対話の新たな挑戦──「資産運用フォーラム」が描く日本市場の未来とは
①国内外の金融50社超が参加!資産運用フォーラムが目指すもの

finasee Pro 編集部

日本初のハンセンテック指数連動ETFが東証上場―注目浴びる“中国テック株”が投資の選択肢に

Finasee編集部

10億円以上の資産家が多いのは山口県、北陸ではNISA活用が進む。県民性から読み解く日本人の投資性向とは?

Finasee編集部

著者情報

藤原 延介
ふじわら のぶゆき
BNPパリバ・アセットマネジメント マーケティング部
2021年にBNPパリバ・アセットマネジメントに入社し、サステナブル投資や欧州規制動向など資産運用に関連する情報発信を担う。1998年三菱信託銀⾏⼊社後、2001年ロイター・ジャパン(リッパー・ジャパン)、2007年ドイチェ・アセット・マネジメント、2019年アムンディ・ジャパン。ドイチェAMでは資産運用研究所長を務めるなど約25年に渡りリサーチ、投資啓蒙に従事。慶応⼤学経済学部卒。
続きを読む
この著者の記事一覧はこちら

アクセスランキング

24時間
週間
月間
「支店長!融資が第一とおっしゃいますが、投信販売は重要ではないのでしょうか。担当する私たちの仕事が軽視されているように感じます」
みずほ銀行で一段と盛り上がる「米国株ファンド」、安定感抜群の「ピクテ・プレミアム・アセット・アロケーション」
佐々木城夛の「バタフライ・エフェクト」
第16回 米価高騰の実態は? 飲食・製造・不動産…多セクターに広がる負担
三井住友銀行の売れ筋でインデックスファンドの群れから抜け出したファンドとは?
金融庁「地域金融力」強調の狙いは地銀再編の再ブーストか?金融審WG初会合の注目点
暗号資産の"金商法適用"が既定路線に!有識者からは「正気の沙汰か」「ギャンブルだ」と批判も…金融審WG第2回会合で何が起きたのか
ファンドモニタリングは、どの指標を参照すればいいか
(1)インデックスファンドはトラッキングエラーに注目
【文月つむぎ】NISA拡充策の議論が本格化、押さえておきたい3つのポイント
大和証券の売れ筋に見える投資家の力量、パフォーマンスが低迷してもトップ10をキープできるファンドとは? 
地域金融機関44行が参加 バランスシート経営の強化へ向けたコンソーシアムが始動
金融庁「地域金融力」強調の狙いは地銀再編の再ブーストか?金融審WG初会合の注目点
【文月つむぎ】NISA拡充策の議論が本格化、押さえておきたい3つのポイント
大和証券の売れ筋に見える投資家の力量、パフォーマンスが低迷してもトップ10をキープできるファンドとは? 
みずほ銀行で一段と盛り上がる「米国株ファンド」、安定感抜群の「ピクテ・プレミアム・アセット・アロケーション」
「分配金」重視姿勢は根強いものの予想分配金提示型でトータルリターンを評価の流れ、野村證券の売れ筋にみる変化
地域金融機関44行が参加 バランスシート経営の強化へ向けたコンソーシアムが始動
暗号資産の"金商法適用"が既定路線に!有識者からは「正気の沙汰か」「ギャンブルだ」と批判も…金融審WG第2回会合で何が起きたのか
佐々木城夛の「バタフライ・エフェクト」
第16回 米価高騰の実態は? 飲食・製造・不動産…多セクターに広がる負担
松井証券の売れ筋に現れた次代のスター候補銘柄、「オルカン」を大きく上回るパフォーマンスで注目のファンドとは?
「ゴールベース資産管理」の実践を通じストックビジネスへの転換を加速させていく case of 足利銀行
特別対談/みずほ証券 浜本吉郎代表取締役社長×楽天証券 楠雄治代表取締役社長
提携から3年、価値観の相違に衝突する場面も
顧客が心地よく使えるシームレスなサービスを
信頼たる資産運用アドバイザーには理由(わけ)がある “進化”した米国の資産運用ビジネスから日本が学ぶべき点は何か? 【米国RIAの真実】
「ゴールベース資産管理」の実践を通じストックビジネスへの転換を加速させていく case of 足利銀行
金融庁「地域金融力」強調の狙いは地銀再編の再ブーストか?金融審WG初会合の注目点
地域金融機関44行が参加 バランスシート経営の強化へ向けたコンソーシアムが始動
金融庁の大規模改編案は、下火気味の”プラチナNISA構想”の二の舞になるのか?【オフ座談会vol.7:かやば太郎×本石次郎×財研ナオコ】
暗号資産の"金商法適用"が既定路線に!有識者からは「正気の沙汰か」「ギャンブルだ」と批判も…金融審WG第2回会合で何が起きたのか
【プロはこう見る!投資信託の動向】
2025年4月の株価急落は変化のトリガー、米国株式への強烈な資金フローの向かう先とは?
【文月つむぎ】NISA拡充策の議論が本格化、押さえておきたい3つのポイント
【文月つむぎ】投資初心者を狙う「フィンフルエンサー」の脅威に備えよ 法規制があいまいな「グレーゾーン助言」の実態
ランキングをもっと見る
finasee Pro(フィナシープロ) | 法人契約プランのご案内
  • 著者・識者一覧
  • 本サイトについて
  • 個人情報の取扱いについて
  • 当社ウェブサイトのご利用にあたって
  • 運営会社
  • 個人情報保護方針
  • アクセスデータの取扱い
  • 特定商取引に関する法律に基づく表示
  • お問い合わせ
  • 資料請求
© 2025 finasee Pro
有料会員限定機能です
有料会員登録はこちら
会員登録がお済みの方ログイン
有料プランの詳細はこちら