7月の損害保険金の水増し請求発覚以降、さまざまな動向が断続的に報じられ続けているビッグモーターの不正行為は、文字どおり社会を震撼させた。同社への国土交通省・金融庁の立入検査のみならず、損保ジャパンへの金融庁の立入検査まで招いた「組織的な手口」と「件数の多さ」に、消費者側は驚愕させられるばかりだ。
自動車業界史に残ると思われるこの一連の事件については、今後も判明事実が順次報じられることとなろう。そうした中、既に影響は広範囲に及んでいる。よって本稿では、今回の保険金不正請求発覚がビッグモーターや損保ジャパン自体ではなく、「他のセクターにどのような影響を与える可能性があるのか」の視点で、分析・考察を行うこととしたい。
バタフライ・エフェクトとは「蝶の羽ばたきが起こす気流が、遥か遠方で竜巻を引き起こす可能性」に由来し、小さな出来事や一見すると関係がない事象が、最終的に全く別の大きな結果につながることを指す言葉だ。 この連載では、預金取扱金融機関の決算や与信業務遂行に与える影響が相対的に大きな業種・職種について、規制・法律の改正や、進行中のさまざまなトレンドが将来どのような変化をもたらすのかを予測していく。