「リスクを避ける」だけでは、魅力的なリターンを得ることができない

講師
そうですね。リスクを抑えたいなら、債券も選択肢の一つです。
具体的なイメージを持ってもらうために、前回と同じように、以下のような試算を行ってみました。

投資対象: ①先進国株式(円ベース) ②国内債券
データ期間:1990年6月~2021年5月
試算方法: ・それぞれ1990年6月から投資を開始し、1年後(1991年5月末)の運用成績を確認する ・開始時期を1カ月ずつずらして、同様の試算を繰り返す

単純な試算ですが、投資開始後1年間の運用成績が30年分で360回も確認できることになります。
試算してみると、運用成績の平均値、最高値、最低値は以下のようになりました。

①先進国株式 平均値:+11%、最高値:+67%、最低値:-55% ②国内債券  平均値:+ 3%、最高値:+16%、最低値:- 4%

国内債券に投資すると、1年後の平均値は+3%でした。先進国株式の+11%よりはだいぶ低いのですが、「儲かる・損をする」のブレ幅が小さいのは、最高値と最低値を比べれば一目瞭然ですね。
つまり、損をするリスクを減らすには、国内債券への投資が一つの選択肢になるのです。

参加者
う~ん、確かに損をするリスクは減っていますが、儲かるイメージが感じられないですね、国内債券には……(苦笑)。

講師
そうですよね。イメージの時点でうすうす感じていらっしゃったようですが、改めて数字にしてみると、リスクを避けるだけでは魅力的なリターンが得られないってことをご理解いただけると思います。
つまり、投資の世界では、リスク=振れ幅とはリターンを生み出す源泉であり、リスクがないとリターンも得られない、ということなのです。

リスクと上手く付き合うコツが「分散投資」

参加者
そうでした、そうでした。セミナーでも説明されていましたよね。だからこそ、リスクは避けるのではなく、上手く付き合っていく必要がある、ってことでした。
でも、リスクと上手く付き合うって、どんなふうに考えればいいのですか?

講師
それでは、もう一度、振り返ってみましょうか。
先進国株式だと、「大きく儲かるかもしれないけれど、損をするリスクが気になってしまう」って、言ってましたよね。
一方、国内債券だと、「損をするリスクは減るけれど、儲かるイメージが湧かない」とおっしゃってました。
とすれば……、その間を狙えばいいんじゃないですか?

参加者
あっ、そうか! 両方を組み合わせればいい……「分散投資」ですね!

講師
そうなのです。
リスクと上手く付き合っていくためのコツの一つが、今、おっしゃっていただいた「分散投資」なのです。

参加者
「分散投資」をするには、株式とか債券とか、国内とか海外とか、組み合わせればいいんですよね?

講師
それはそうですけど、少し具体的にお聞きしましょうか。
どんな資産を、どれくらいの割合で組み合わせればいいと思いますか?

参加者
えっ、具体的って言われても……、正直分かりません(冷汗)。