前回(「こんなはずでは…」 リスクを取って資産運用をしなかった若者の末路)は、若者はもっとリスクを取って運用すべきであり、そうしなかった場合に訪れるかもしれない悲惨な末路についてお話しさせていただきました。そうは言っても、いきなりリスクを取って運用するのはハードルが高いと思いますので、まずは少額からでもできる積立投資を始めてみましょう、とも申し上げました。

今回は若者ではなく、老人(ここでは65歳以上の高齢者とします)に焦点を当て、老人のあるべき資産運用方法について議論していきたいと思います。

「老人はリスクを取ってはいけない」は今や昔の話

誰が主張したのかは不明ですが、これまでは「老人になったらリスクを取った運用なんてご法度、預貯金で安全に管理すべき」との通説があり、広く浸透していたと思います。私はこの通説を全否定するつもりはありません。確かに“昔は”正しかったのだと思います。

というのも、50年くらい前の1970年には、男性の平均寿命は67.7歳、女性は72.9歳であり、余生は長くなかったからです。また、当時は預貯金の金利も5%を超える高い水準でしっかりと金利収入が得られたため、預貯金のような安全資産のみで運用していても問題なかったのです。

でも、今は状況が全く異なります。平均寿命は2019年には男性が81.1歳、女性が87.5歳と14年程度も長くなりました。金利水準はほぼ0%ですから、預貯金からの金利収入はほとんど見込めない状況です。このように前提条件が大きく変われば、当然、昔は正しかったことも正しくなくなるのです。では今の時代、老後の資産運用はどうすればよいのでしょうか?