希望者は、ほぼ接種済み。すでに解放感が高まっている

アメリカでのコロナワクチン接種は、2021年5月末現在で、第1回接種まで終わっている人が全人口の51%、第2回接種まで終わっている人(ジョンソン・エンド・ジョンソン製の場合は1回終わっている人)が41%という状況です。2020年末より接種が段階的に始まり、最初は医療従事者、介護施設職員などを優先、次に75歳以上の人やエッセンシャルワーカーと呼ばれる家の外で働くことが必要な人々、さらにはデイケアワーカーや学校の教育者に広がり、次に65歳以上の人と既往症のある人たちと進みました。各州で政策が違うためバラつきがありましたが、私の住むカリフォルニア州では4月1日から50歳以上、4月15日から16歳以上、現在は12歳以上ならだれでも接種が可能となっています。

ワクチン接種が進むのと並行して、コロナ感染者数は激減。アメリカ各地ではだんだんと規制が緩みつつあります。正式に「Fully Vaccinated(ワクチン接種完了)」と見なされるのは、2回目の接種が終わってから2週間経ってからですが、ワクチンが完了している人はマスクを着けなくてよい、自由に旅行をしてよいなど※、解放感が高まっています。
※ 州や地域のよってルールの違いはあります。

はじめの頃はワクチンを受けたい人が殺到して、なかなか予約ができないフェーズがあり、その後接種を希望する人は案外簡単に予約できるフェーズがあり、次には町を歩いていると「接種、今できます」という看板が見られるようになり、そして現在はおそらく接種を希望する人はほぼ全員接種が終わり、何らかの理由で接種をしたくないと考える人たちが残っている状態です。

何でもお金とモノでつるアメリカでは、この最後のグループの人たちになんとか接種をしてもらうため、「ワクチン接種したら、〇〇をあげます」というキャンペーンがあちこちで展開されています。

ドーナツ、野球、宝くじ… お金に糸目をつけない、アメリカ的接種キャンペーン

接種プロモーションでもっとも身近だったのは、みなに愛されているドーナツ店『クリスピー・クリーム・ドーナツ』で、ワクチン接種のカード(アメリカでは、接種すると日付とワクチン名を書いた小さなカードをもらいます)を見せると、ドーナッツ一個無料というもの。しかも何度行ってもいい(ただし一日一個)ので、若い世代の中は、ワクチン接種券で何度も無料ドーナッツをもらっている人もいるようです。

他にも“接種躊躇組”を動かすために、さまざまなリワードが用意されています。ニューヨークでは、ヤンキースかメッツの試合の日にスタジアムでワクチン接種したら、次の試合の入場料無料というキャンペーンもありました。ロングアイランドでは、ワクチン接種でメトロ乗車券7日間無料、シカゴではワクチン完了者は今年の夏の終わりまでミュージックコンサート無料、NFLは2022年2月のスーパーボウルチケットを接種者50人にプレゼントなどなどです。

そんな中、目を見張る極めつけはここカリフォルニア州です。ワクチン接種をすると州のデータベースに接種者として名前が残りますが、その中から宝くじをするというもの。トップ賞はなんと一人150万ドル(約1億6500万円)でこれが10人に当たります。さらに30人に5万ドル(約550万円)、200万人に50ドル(約5500円)のギフトカードが当たります。我が家も4人接種していますので、当たるかもしれない……!

確かにワクチン接種は個人の判断ではありますが、コミュニティとしての接種率は社会的影響力がありますので、ワクチン接種プロモーションは大切な施策だと思います。しかしながら、「社会のことを考えてお互い接種を呼びかけましょう」みたく訴えるのとはまるで違い、「お金あげるから接種しなさい」といういかにもアメリカらしいゲンキンなやり方です。

カリフォルニアでは6月15日に大幅に経済活動・社会生活が解禁になりますので、それを前にラストスパートというところでしょうか。総額コスト1億1650万ドル(116億5000万円)に上るこのキャンペーン、連邦政府のコロナ救済ファンドからカリフォルニア州の災害対策ファンドに供給されるお金を使うそうです。カリフォルニアの経済が元に戻れば、これを大きく上回る経済効果があると判断してのことなのでしょう。

「一人1億6500万円もあげなくてもいいような。1000万円くらいでも十分では?」とも感じます。少なくとも中低所得者なら1000万円の賞金で十分腰を上げる気もするけれど、1億以上の賞金を出さないと腰を動かさない高額所得者をターゲットとしているのでしょうか? ワクチン接種率は高所得者カテゴリーの方が進んでいるというデータもありますが、それより政治的傾向のほうがモノを言い、バイデン派/民衆党主義者のほうが接種率が高いので、もしかしたら接種を拒否しているリッチなトランプ派/共和党主義者あたりを狙っての策なのかもしれません。一方で、本当に生活に困っている人達もいるのだから、災害対策ファンドからお金をそちらに回せるではないかと疑問も感じてしまいます。私にはよく分からない世界です。

アメリカ国内の旅行が実現!自由に動ける幸せを実感

そんなこんなで社会が解放される中、昨年9月晴れて大学1年生になったのに大学のキャンパスには一度も入れず、ずっと家にこもってオンライン授業で頑張ってきた娘と旅をすることにしました。

なにせカリフォルニアは感染者数が劇的に増えたときには徹底的に社会封鎖したので、本当に家でじっとしているしかありませんでした。お店もモールもレストランも何にも開いていない、公園もビーチも閉鎖でした。徹底的な封鎖と我慢のかいがあって今や自由が戻りつつある――どこかに旅行したいが、かといってアメリカ国外はまだまだいろいろと規制がある、ということで、とりあえずアメリカ国内で羽を伸ばそうということになりました。

5月半ばにロサンゼルス空港を出発、イリノイ州シカゴ、昔住んでいたバージニア州シャーロッツビル、マサチューセッツ州ボストンを回る10日間の旅でした。飛行機はどれも満席状態、美術館や博物館も人数規制をしながらですが、開いていました。古い友人にも会うことができ、「あぁ、自由に動き、自由に人に会えるとはなんと感謝すべきことか」と思いました。アメリカ国内は、日常を取り戻しつつあると言えます。

変異株の出現で日本入国の規制は厳しくなっている

次のステージとして、6月に2年ぶりに日本の両親のところに行くことを計画しています。航空チケットを買い、2週間の自主隔離のAirbnbも予約しました。

日本の方は規制が厳しくなっており、出発前72時間以内の陰性証明がないと日本行き飛行機に乗れません。しかもPCR検査は一定の基準を満たすものでなくてはならず(それを受けるには1万5000円相当かかります。地域によっては3万円することも)、証明書も決まったフォーマットである必要があり、不備があると成田・羽田に着いても入国拒否で強制的に出発国へ送り返されますので、かなりドキドキしています。

6月頭からは、変異種が記録されたカリフォルニア州からの帰国はさらに厳しい規制がかかり、出発前PCR検査、再度日本到着後PCR検査の後、3日間は政府指定の施設に泊ることになり、3日目にさらにPCR検査で陰性ならば、やっと自主隔離に入れるという寸法です。言うまでもなく、ワクチン接種完了は何の意味もありません。アメリカの解放感とは対照的な動きで内心げっそりしますが、でも日本に入れていただけるだけで感謝しなくてはならないですね。さて、入れてもらえるか。若干の不安を抱きながらの帰国になりそうです。

※こちらの記事は6月4日までの情報を基に執筆されています。