医療保険に貯蓄型保険、個人年金保険も基本的には不要

中には医療保険に入ることを勧める人もいますが、医療保険というのは基本的には全く無用の長物です。そもそも民間の医療保険では治療費自体は一銭も出ません。治療費がまかなわれるのは健康保険などの公的な医療保険です。ただ、公的医療保険でまかなえない部分、例えば病院へ行くタクシー代とか入院した時の食事代、そして個室等へ移る場合の差額ベッド料をまかなうというのが民間の医療保険の役割です。だとすれば、そんなものに入る必要はなく、ただ、貯金をしておけば良いだけです。

貯金の良いところは貯めておきさえすれば、使い道は自分で自由に決められることです。病気になれば、そこから出せば良いですし、幸い病気にならなければ、旅行に行ったり美味しいモノを食べたりすることに使えます。保険のように目的限定型でお金を突っ込むのは極力少なくした方が良いでしょう。

また、中には「貯蓄型保険」や「個人年金保険」を勧める人もいますが、これも保険本来の目的を考えれば全く必要のないものです。そもそも保険の目的は保障にあります。つまり将来の不幸や不安に備えてみんなで保険料を出し合うのがその仕組みです。

ところが貯蓄の目的は将来の楽しみのために自分で蓄えることです。つまり保険と貯蓄ではその目的や仕組みは正反対なのです。にもかかわらず、「掛け捨てがもったいない」からと言って保険に貯蓄機能を求めるのは大きな間違いです。なぜなら限られた保険料の中から運用に回す部分と保障に回す部分の両方が充てられるからです。

結果、保障としても運用としてもどちらにも中途半端なものになってしまいます。ところが中には「自分はズボラでなかなかお金を貯めることができない。保険ならば、強制的に貯めることができるから良いのだ」と言う人がいます。でも、それなら会社の天引き貯蓄や天引き投資で十分でしょう。

それにズボラな人は結局何をやってもだめだと思います。自分のお金に関することはきちんと自分で管理することを考えることが大事です。

保険というのは、その意味や本質を深く考えずに"何となく”入ってしまっている人も多いでしょうが、人生における大きな買い物の一つであることを考えると、もう少しじっくりと考えた方がいいのではないでしょうか。