iDeCo以外の制度として、国民年金基金や付加年金も

iDeCo以外に将来に備えられる制度として、国民年金第1号被保険者は、上乗せで国民年金基金に加入することができます。終身年金(A型、B型)、確定年金(Ⅰ型、Ⅱ型、Ⅲ型、Ⅳ型、Ⅴ型)があり、それぞれ掛金や加入年数に応じた年金が受け取れることになります。全額社会保険料控除の対象になり、節税も可能ですが、国民年金基金に加入すると、掛金の上限はiDeCoと合わせてで月額6万8000円となります。また、付加保険料を納めることができません。

付加保険料は国民年金保険料に併せて納められる保険料で、1月400円で、1月の納付につき年額200円の付加年金が受け取れることになります。付加保険料を納める場合のiDeCoの掛金の上限は月額6万7000円になります。

また、先述の法人化によって第2号被保険者になると、国民年金基金、付加年金いずれも対象とならず、掛金、保険料は納められません。

個人事業主向けの退職金制度、小規模企業共済制度にも注目を

iDeCoの掛金上限額に影響を受けずに掛けられる、個人事業主向けの制度は何かないかも気になるところですが、個人事業主、小規模な会社経営者向けの退職金制度として小規模企業共済制度があります。毎月掛金を積み立て、65歳になった際に、あるいは事業を廃業した際に、退職金に当たる共済金を受け取ることができます。

月額1000円から500円単位で掛けることができ、最大で月額7万円、年間84万円まで掛けることができます。こちらの掛金も、その名のとおり小規模企業共済等掛金控除として全額が控除対象となり、節税が可能です。「預金の一部を小規模企業共済に移す」とイメージでき、預金を移しながら、税金の負担も軽減できることになります。

掛金は変更することもできますし、毎月納付ではなく、年払いなど一括で納付することも可能です。ご自身がされている事業の成績は年によって変動することもありますが、利益が多い場合は多く掛けて節税するのも1つの方法です。任意に解約することは可能ですが、その場合、加入期間によっては、受け取れる解約手当金が拠出した掛金の合計額を下回ることもありますので、やはり長く掛け続けることを前提で加入したいところです。

急な出金には備えられるよう預貯金額も考慮しながら、拠出を始めよう

以上のようになりますが、現在、月の手取り収入から預貯金へと月額10万円回せるお金があるうち、全てこれらの制度に使うと、いざ現金が必要になる際に用意できないことにもなりますので、毎月預貯金もしておきたい場合はまずは各制度合わせて月額5万円程度の拠出をしてみてはいかがでしょうか。あるいは「すでにある預貯金1000万円でいざという時に備える」ということでしたら、さらに月額5万円を超える額で拠出してみてもいいでしょう。

会社で手続きしてもらえる会社員の方と異なり、年金の保険料や掛金は自分で手続きをして備えないといけませんが、個人事業の方向けの将来に備える制度はいくつもありますので、事業の推移や預貯金の額を見ながら、将来への備えをしていただけると良いですね。