再雇用による収入大幅ダウンをカバーする給付金も!

定年退職後に再雇用される場合は、少なからぬ給与ダウンを覚悟しなければなりません。しかし、そうした人には雇用保険の“お助け”制度があります。「高年齢雇用継続給付」といって、60~64歳の賃金が60歳到達時の75%未満まで下がってしまった場合に、新たな賃金の15%を上限として雇用保険から給付金が受け取れるというものです。

例えば、定年退職直前の賃金が30万円、再雇用後の賃金が18万円(退職時の60%)とすると、月額2万7000円(15%)が支給されます。支給額には上限があり、新たな賃金と給付金の合計額が36万5114円(2020年8月1日改定)を超えないように調整される形です。

ただし、この制度は「2025年度に60歳に達する人から給付率を半減させる」方針で、今後は段階的に廃止されます。といっても、廃止を必ずしも悲観的に捉える必要はありません。「『働いたら損』ではなくなる! 制度改正で変わる在職老齢年金の基準額」の回で指摘したように、今後は再雇用者の待遇そのものが改善されていくとみられているからです。

国や自治体の補助金でセカンドライフを充実させよう

定年退職後は時間的な余裕も生まれ、自宅で過ごす時間が増えるのではないでしょうか。「退職金も入ったことだし、自宅をリフォームしようか」と考えたときには、国や居住する自治体の助成金が使える可能性があります。

特に今、国が力を入れている省エネ住宅へのリフォームは、2020年度だけでも「高性能建材による住宅の断熱リフォーム支援事業/次世代省エネ建材支援事業」「長期優良住宅化リフォーム推進事業」など多数実施されていて、種類だけでなく金額も充実しています。

定年を機にマイカーを買い替えるなら、全国で使えるクリーンエネルギー自動車(電気自動車・プラグインハイブリッド自動車・燃料電池自動車・ミニカー・クリーンディーゼル自動車・側車付き二輪・原付二輪)のCEV補助金があります。電動アシスト自転車を購入する際も、自治体によっては購入額に応じた補助金が受け取れます。

定年後の地方移住を検討している方もいらっしゃることでしょう。それなら、移住先の補助金や給付金もチェックしておきたいところです。家賃補助や家を購入・リフォームする際の助成などは序の口で、会員登録すれば県内の企業・団体などによる「暮らし応援隊」から料金割引サービスなどのさまざまなサポートが受けられる(愛媛県)、20万円を上限に引っ越し費用を補助する(大分県臼杵市)といった至れり尽くせりの自治体もあります。

自分で探し出して、自分で申請しないと使えない

ここまでご紹介してきた以外にも、定年退職後の生活を豊かにする補助金や給付金はたくさんあります。とはいえ、国や自治体は告知こそするものの、該当者を探し当てて案内してくれるわけではありません。あくまで自分で見付け出して、申請する必要があります。
現役の今のうちから、お住まいの自治体のウェブサイトや、個人向けの補助金や給付金の情報サイトを定期的にチェックしておきたいところです。