見込額との“誤差”が大きくなるケースは?

ねんきん定期便をチェックする際、気を付けたいことがあります。それは、記載された将来の年金額はもちろん一応の目安になりますが、あくまで見込額だということです。実際に受け取る金額は、家族構成などによっても変わります。会社の同期と給料は同額でも、扶養家族が多いほうの手取り額が多いというのと一緒です。

例えば、老齢厚生年金には「加給年金」という“家族手当”のような制度があります。受給時に夫に扶養されている65歳未満の妻や、満18歳になる年度の末まで(高校生以下)の子どもがいる場合は、妻が39万900円(1943(昭和18)年4月2日以降生まれの場合)、子ども2人目までが1人につき22万4900円、3人目以降は同7万5000円が年金に上乗せされるのです。

仮に、晩婚の元サラリーマンに65歳時点で40~50代の妻と高校生以下の子どもが2人いたとしたら、年間で約84万円もの“手当”が付きます。加給年金の存在を知らなかった人には、うれしいサプライズかもしれません。ねんきん定期便の見込額に、この加給年金は反映されていませんから、このような場合は、年間84万円もの“誤差”が生じる可能性もあるわけです。

加えて、「年金にも所得税がかかる!?受取時の『額面』と『手取り』の差に注意」でお話ししたように、ねんきん定期便の見込額は「額面」ですから、そこから税金や社会保険料が差し引かれることになります。

定年が近くなって、より正確な受取見込金額を知りたいときには、最寄りの年金事務所に問い合わせるのが確実でしょう。

ねんきんネットに登録すれば好きなときに情報が見られる

ねんきん定期便は、ご自分の年金記録を把握する年に1度のチャンスです。リタイア後のライフプランを立てる際の貴重な資料になりますから、翌年の分が届くまで保管しておくと重宝しそうです。

なお、「お客様のアクセスキー」(図のm)を使って日本年金機構のねんきんネットに登録すれば、同様の情報を365日24時間、好きなときに見ることもできます。