宿題が終わらない…全科目を個別指導へ

小学5年生になると、通塾日数も宿題も増えました。息子は学校から帰ると疲れており、テキストを開くまでに時間がかかります。真理子さんが隣に座り、「早くやって」「どうして授業で聞いてこなかったの」と声を荒げてしまい、親子げんかになりました。

そんなとき、友人のお母さんから系列の個別指導教室を勧められます。集団授業の内容を個別で補い、宿題の進捗も見てもらえるというのです。

最初は算数だけのつもりでした。しかし国語の記述も書けず、理科と社会の宿題も終わりません。家で4科目をやらせることに限界を感じ、結局、全科目を受講することにしました。

「お金はかかりましたが、家で怒鳴らなくて済む。それだけで救われた気がしたんです」

しかし、個別指導を増やしても算数の偏差値は上がりませんでした。するとママ友グループLINE経由で、有名な家庭教師の情報が届きます。難関校への合格実績があり、“最後に頼る先生”“合格請負人”と呼ばれている――そんな言葉が並んでいました。

料金を聞き、真理子さんはためらいました。それでも「6年生になってからでは空きがない」「今押さえないと間に合わない」と言われ、お願いすることにしました。

次に問題になったのは、毎週のテスト直しです。集団塾では全問の詳しい解説まで時間を割けず、個別指導では通常授業の復習と宿題で手いっぱい。そこで、テスト問題をオンラインで解説してくれる教材にも申し込みました。

さらに別の個別指導塾へカウンセリングに行くと、教室長から「授業を取らなくても、親御さんとマンツーマンで併願校戦略を立てることもできます。会員になれば自習室も使えますよ」と提案されました。心強く感じ、そこにも通い始めます。

ひとつひとつは、息子の困りごとに対応するための選択でした。けれど、誰も全体の塩梅を見てはいませんでした。大手塾、系列個別塾、家庭教師、オンライン教材、もう一つの個別指導塾。それぞれが自分の担当範囲で助言し、それぞれの宿題や課題を出します。

結果として、息子の時間はさらに足りなくなりました。課題が終わらないからサービスを増やし、サービスを増やしたことで、課題がもっと終わらなくなる。その悪循環に陥っていたのです。

●なぜ真理子さんは、課金を続けたのでしょうか。後編【手取り年収1600万が半減しても、課金はやめられなかった…中学受験を終えて突きつけられた、大手塾一本で合格した家庭との「決定的な差」】で、彼女を縛っていたものに迫ります。

※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。