「今月も5万円しか残らなかった……」

インターネットバンキングの画面を見ながら、美香さん(仮名・45歳)はため息をつきました。

給料日からまだ10日ほどしか経っていません。夫の康太さん(仮名・48歳)と共同の生活費口座からは、住宅ローン、マンションの管理費と修繕積立金、ふたりの子どもの塾代、カードの引き落とし――次々と口座からお金が消えていきます。5万円が残っても、家電の故障や冠婚葬祭、帰省費用などがかかれば貯金はほとんどできません。

「月々のお金からは貯金がほとんどできず、ボーナスを切り詰めてどうにか……。このあと10年以上教育費は右肩上がりなのに、どうなるんだろう」

美香さんはそのことを考えると眠れなくなるそう。子どもが小さかった10年前はそんな心配をしたことはありませんでした。

夫の康太さんは大手メーカー勤務で年収約900万円。美香さんも会社員として約500万円を稼ぎ、世帯年収は約1400万円。

世間一般では十分な世帯収入です。ネットでよく掲載される記事を読んでも、「世帯年収1400万円なら中学受験は十分可能」と書かれています。だから夫婦とも、「贅沢な暮らしをしなければ教育費は何とかなる」と信じていました。「何ならネットで『年収900万円で中学受験』という記事タイトルを見て、ちょっと無謀なんじゃ? でもうちはなんとかなりそう、などと性格の悪いことを思っていました」と肩を落とす美香さん。

ところが現実は想定とはまったく違っていたのです。