資産形成と同時に資産の“出口”設計が必須
改正案が成立したとしても、その施行にあたって前提となる、確定申告されていない金融所得を把握する有効な手段は、現時点では存在しません。そこで検討されているのが、証券会社などが国税庁に提出している法定調書を活用する仕組みです。
配当や譲渡益が記載された法定調書を集約し、いわば「法定調書データベース(仮称)」を整備したうえで、その情報を市町村が医療保険料や窓口負担の判定に用いるという構想です。
ただし、「データベース整備」「自治体システム改修」「法定調書のオンライン提出義務化」といった工程を踏む必要があるため、法案成立後すぐに始まるわけではありません。
現実的には、公布から4~5年程度を要し、後期高齢者医療制度で金融所得の反映が本格化するのは2030~2031年頃と見込まれています。
この改正の本質は、「負担能力を、より正確に測ろう」という制度思想です。
そして、その考え方は今後、医療や介護など他制度に波及していく可能性を十分に孕んでいます。
「老後破たん」への不安から、元本等を取り崩せないまま資産を使えずに抱え込み、その結果、必要以上にため込んだ資産から発生する譲渡益や配当などの金融所得が増加し、かえって保険料や自己負担が重くなる。
こうした皮肉な状況を避けるためにも、資産形成と同時に、資産の“出口”をいかに設計するかという視点が、これまで以上に求められています。
(執筆:三菱UFJ信託銀行 根本 浩之)
ご留意事項
・本稿は、三菱UFJ信託銀行が作成したものであり、著作権は同社に帰属します。
・本稿に掲載の情報は、ライフプランや資産形成等に関する情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の取得・勧誘を目的としたものではありません。
・本稿に掲載の情報は、執筆者の個人的見解であり、三菱UFJ信託銀行の見解を示すものではありません。
・本稿に掲載の情報は執筆時点のものです。また、本稿は執筆者が各種の信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性について執筆者および三菱UFJ信託銀行が保証するものではありません。
本稿に掲載の情報を利用したことにより発生するいかなる費用または損害等について、三菱UFJ信託銀行は一切責任を負いません。
・本稿に掲載の情報に関するご質問には執筆者および三菱UFJ信託銀行はお答えできませんので、あらかじめご了承ください。
